ハゴロモジャスミンの害虫を駆除!健康に育てる剪定と予防のコツ

甘く芳醇な香りで庭やベランダを彩ってくれるハゴロモジャスミンですが、急に元気がなくなったり、葉の様子がおかしくなったりして困っていませんか。せっかく大切に育てているのに、正体不明の虫に食害されたり葉がベタベタになったりするのは非常にショックなものです。ハゴロモジャスミンは成長が非常に早く、つるが密集しやすいため、風通しが悪くなると瞬く間に害虫の温床となってしまいます。

実は、ハゴロモジャスミンにつく害虫にはいくつかの決まったパターンがあり、そのサインを早く見つけることが復活への近道です。アブラムシやハダニ、カイガラムシといった代表的な天敵たちは、単に葉を食べるだけでなく、排泄物によって「すす病」を誘発したり、恐ろしいウイルス病を媒介したりすることもあります。

この記事では、多くの方が悩む種類や対策のポイント、さらには駆除だけでなく正しい育て方を通じた予防法まで、専門的な視点から詳しく解説します。何を隠そう、私自身も数多くの現場でこの植物のトラブルと向き合ってきました。

読み終える頃には、あなたの家のハゴロモジャスミンを再び健康な状態に戻し、来年も素晴らしい香りを楽しむための具体的な方法がわかっているはずです。私と一緒に、大切な植物を守る術を学んでいきましょう。適切な知識を持って対処すれば、植物は必ず応えてくれます。初心者の方でも今日から実践できる、ハゴロモジャスミンを健やかに育てるためのメソッドをお伝えします。

この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。

  • ハゴロモジャスミンに発生しやすい主な害虫の生態と被害の特徴
  • 葉がベタベタしたり白くなったりする症状の根本原因と見分け方
  • 即効性のある薬剤駆除と環境に優しい自然派防除の使い分け術
  • 翌年も花をたくさん咲かせるための正しい剪定と冬越しの管理法
目次

ハゴロモジャスミンにつく害虫の種類と被害の症状

ハゴロモジャスミンは成長が非常に早いつる性植物であるため、葉が密集しやすく、それが原因で特定の害虫を呼び寄せてしまうことがあります。害虫の種類によって現れる症状は異なり、初期段階で正しく識別することが重要です。ここでは、現場でよく遭遇する主要な害虫たちの生態と、それらが引き起こす具体的な生理障害について、私の経験に基づき詳しく紐解いていきます。

新芽に群生するアブラムシの駆除と予防法

春先の暖かくなってきた頃、新しく伸びてきた柔らかな芽や茎に、小さな虫がびっしりとついているのを見たことはありませんか。それがアブラムシです。体長はわずか2〜4mm程度ですが、その繁殖力は驚異的です。アブラムシは「単為生殖」という、メスが交尾なしで次々と子供を産む仕組みを持っており、環境が整えばわずか数日で株全体を覆い尽くしてしまいます。彼らは植物の維管束に鋭い口針を刺し、大切な光合成産物である養分を吸い取ります。これにより、細胞の伸長が阻害され、新芽が萎縮したり葉が不自然に縮れたりする被害が発生します。

また、アブラムシの恐ろしさは吸汁被害だけではありません。彼らは吸汁の際に、植物にとって致命的なウイルス病を媒介することがあります。一度ウイルスに感染した株は、葉にモザイク状の斑点が現れたり、全体が矮小化したりして、治療が困難になるケースが多いのです。

さらに、アブラムシが排出する「甘露」は、後述するすす病の直接的な原因となります。アリが植物の周りを頻繁に行き来している場合は、この甘露を求めてアブラムシと共生関係を築いている証拠ですので、足元からのサインも見逃さないようにしましょう。

アブラムシ被害のチェックポイント

  • 新芽や葉の裏に緑色、黒色、あるいは茶色の小さな虫が群れている
  • 新葉がちぢれたり、展開せずに萎縮したりしている
  • 植物の周囲にアリが集まり、葉の表面に粘着性がある

駆除については、発生初期であれば物理的な除去が効果的です。ガムテープやセロハンテープの粘着面を使って優しく取り除くか、勢いのあるシャワーで吹き飛ばしましょう。ただし、つるが絡まり合うハゴロモジャスミンの場合、奥の方に潜んだ個体を見落としがちです。

確実性を期すのであれば、浸透移行性の殺虫剤の使用を検討してください。これは、植物が成分を吸収し、どこを吸っても害虫を退治できる仕組みの薬剤です。例えば、アセタミプリドやクロチアニジンを含有する薬剤(製品例:ベニカ、オルトラン等)が代表的です。使用にあたっては、必ず製品の裏面にある適用表を確認し、正しい濃度と回数を守ってください。

アブラムシの発生を防ぐための環境作り

アブラムシは窒素肥料を過剰に与えすぎて、葉の中のアミノ酸濃度が高くなった植物を好みます。肥料は適切な量を守り、「徒長(とちょう)」と呼ばれるヒョロヒョロした弱い枝を作らないことが予防の第一歩です。また、アブラムシは光るものを嫌う性質があるため、株元にアルミホイルを敷くなどの対策も、家庭での小さな予防策として知られています。

乾燥で発生するハダニの症状と葉水の効果

梅雨明けの真夏や、冬場に暖房の効いた室内で管理している場合に特に注意したいのがハダニです。ハダニは昆虫ではなくクモの仲間の節足動物で、非常に小さいため肉眼では点のようにしか見えません。彼らは高温で乾燥した環境をこよなく愛し、ハゴロモジャスミンが水ストレスを感じているときに爆発的に増殖します。

葉の裏側に寄生し、葉緑素を含む細胞を次々と吸汁して破壊していくため、被害を受けた葉は健康な緑色を失い、微細な白い斑点が無数に現れます。進行すると葉全体がカスリ状に白っぽくなり、最終的には光合成ができなくなってパラパラと落葉してしまいます。

ハダニの最も特徴的な兆候は、被害が深刻になると枝先に細いクモの巣のような糸を張ることです。こうなると数千匹単位のハダニが潜んでいる可能性があり、一刻も早い対処が必要です。しかし、ハダニには大きな弱点があります。それは「水」に極端に弱いということです。彼らは乾燥した場所でしか生きられないため、定期的に葉の裏側に霧吹きで水をかける「葉水(はみず)」を習慣にするだけで、発生密度を劇的に下げることができます。

これは単なる保湿だけでなく、物理的にハダニを窒息させたり流し落としたりする効果があります。また、ハダニは薬剤に対する耐性がつきやすく、同じ殺ダニ剤を何度も使い続けると効果がなくなるため、複数の系統の薬剤をローテーションで使用するか、物理的な葉水を主軸に据えるのがプロのテクニックです。

効果的な葉水のやり方 霧吹きを使用する際は、葉の表面だけでなく、必ず「葉の裏」にしっかり水が届くように下から吹き上げてください。ハダニは光を避けて裏側に隠れる性質があるためです。屋外であれば、ホースのノズルを細かなミスト状にして、株全体を洗うように散布するのが理想的です。

薬剤を使用する場合は、ハダニ専用の「殺ダニ剤」を選びましょう。一般的な殺虫剤では効果がない場合も多いため、注意が必要です。成分としてはフェンピロキシメートやミルベメクチンなどが有効ですが、これらは1年に使用できる回数が制限されているものが多いです。薬剤の適切な運用については、製造元のラベルをしっかりと読み込みましょう。

茎に付着するカイガラムシとコナカイガラムシ

ハゴロモジャスミンの古い枝や、葉が密集して暗くなった部分をよく観察してみてください。「茶色の小さなカサブタのような固まり」や「白い粉を吹いたようなワタ状の物体」がこびりついていませんか。これらはカイガラムシ、およびコナカイガラムシです。これらは吸汁性害虫の中でも特に防除が難しい「難防除害虫」として知られています。

その理由は、成虫になると脚が退化して一箇所に定着し、体の表面を硬い殻や、水を弾くロウ物質(ワックス層)でコーティングしてしまうからです。このバリアがあるため、上から薬剤を散布しても成分が中に浸透せず、生き残ってしまうのです。

これらが寄生すると、植物は徐々に活力を失い、最悪の場合は枝枯れを起こします。また、カイガラムシも多量の甘露を排出するため、すす病の温床となります。コナカイガラムシの場合、白いふわふわした物質の中に卵を産み付けるため、これを放置すると翌年には手が付けられないほど増殖してしまいます。ハゴロモジャスミンのような「つる」が入り組む植物では、隙間に潜り込んだ個体をいかに見つけるかが勝負の分かれ目となります。

成虫に対する最強の対策は「物理的除去」 殻を被った成虫には薬剤が効きにくいため、古くなった歯ブラシやヘラを使って一匹ずつこすり落とすのが最も確実です。このとき、強くこすりすぎて植物の樹皮を傷めないよう注意してください。傷口から他の菌が入るのを防ぐため、優しく、かつ丁寧に取り除きます。

もし薬剤を使用するのであれば、幼虫が活動を開始する5月〜7月頃が狙い目です。幼虫の時期はまだバリアが完成していないため、浸透移行性の薬剤やボルネオ、マシン油乳剤などが効果を発揮します。ただし、ハゴロモジャスミンのデリケートな葉にマシン油を使用すると、濃度によっては薬害(葉焼け)を起こすリスクもあるため、夕方の涼しい時間帯に試用してから全体に広げるのが安全です。不安な場合は、園芸店や専門家に相談しながら進めてください。

葉がベタベタする原因は害虫の排泄物とすす病

「ハゴロモジャスミンの葉を触ると指がベタベタする」「葉の表面に透明な液体がこびりついている」という症状は、多くの栽培者を悩ませるトラブルです。このベタベタの正体は、これまで紹介した吸汁害虫たちの排泄物である「甘露」です。植物の汁には糖分が多く含まれており、虫たちは必要以上の糖分を「おしっこ」として排出します。これが葉に降り注ぎ、乾燥すると接着剤のようなベタつきに変わります。この状態を放置しておくと、二次的な問題として深刻なすす病が発生します。

すす病は、空気中に浮遊しているすす病菌(カビの一種)が甘露をエサにして繁殖し、葉や茎を黒い粉状の膜で覆ってしまう病気です。見た目が非常に汚らしくなるだけでなく、黒い膜が太陽光を遮断してしまうため、植物は光合成ができなくなります。その結果、ハゴロモジャスミンの成長が止まり、葉は黄色くなって落葉し、翌年の開花にも悪影響を及ぼします。すす病自体は植物の組織内に侵入して栄養を奪うわけではありませんが、放置すれば確実に株を弱らせる恐ろしい状態です。

異常のサイン考えられる原因即効性のある対処法
葉の表面がベタベタするアブラムシ・カイガラムシの排泄物ぬるま湯を含ませた布で拭き取る
黒いすす状の汚れが付着すす病菌の繁殖(カビ)原因害虫の駆除+葉の洗浄
葉裏に白い粉状の物体コナジラミ・コナカイガラムシ粘着くん等の物理的殺虫剤
葉全体が黄色くしおれる吸汁被害による栄養不足活力剤の投与と半日陰での休養

対策の鉄則は、原因となっている害虫の徹底駆除です。害虫がいる限り甘露は供給され続け、すす病は何度でも再発します。まず害虫を退治した上で、すでに発生してしまった黒いすすは、濡れ雑巾やキッチンペーパーで一枚ずつ丁寧に拭き取ってください。広範囲の場合は、ジョウロで水をかけながら優しくこすり落とします。その後、風通しを良くするために内側の込み合ったつるを間引くことが、再発防止の強力な一手となります。

葉が白いのはうどんこ病かハダニの吸汁痕か

ハゴロモジャスミンの葉に白い異変が起きたとき、その正体を正しく判断することが、間違った治療を防ぐ鍵となります。「葉が白い」という症状には、主に二つの原因が考えられます。一つは、先述したハダニによる吸汁痕です。これは、葉の緑色が抜けて「小さな白い点々」が無数に集まっている状態で、指でこすっても白みは取れません。

もう一つは、植物の代表的な病気であるうどんこ病です。うどんこ病は、その名の通り葉の表面に小麦粉をまぶしたような白いカビの斑点が現れます。初期段階では指でこすると簡単に落ちるのが、ハダニとの最大の違いです。

うどんこ病はカビ(糸状菌)が原因であり、特に春や秋の「湿度が高すぎず、かつ風通しが悪い環境」で発生しやすくなります。白いカビの膜が葉を覆うと光合成が阻害され、やがて葉が黄色く枯れてしまいます。また、うどんこ病の菌は風に乗って周囲の植物にも広がるため、早期発見が欠かせません。ハダニの場合は「乾燥」を好みますが、うどんこ病は「極端な乾燥と湿気の繰り返し」を好む傾向があります。まずはどちらの症状に近いか、じっくりと観察してみましょう。

ハダニとうどんこ病の識別チャート

診断に迷ったときは以下のポイントをチェックしてください。

  • 葉の裏を見る:小さな赤い虫が動いていれば「ハダニ」。何もいなければ「うどんこ病」の可能性。
  • こすってみる:粉のように落ちれば「うどんこ病」。落ちなければ細胞が壊れている「ハダニ」。
  • 分布を確認:ポツポツとした円形の斑点から広がっていれば「うどんこ病」。全体がかすんだように白ければ「ハダニ」。

うどんこ病の対策としては、初期であれば重曹を1000倍に薄めた水や、市販の酢をベースにしたスプレーでも抑制可能です。重度の場合は、トリホリンやミクロブタニルを主成分とする殺菌剤が有効です。どちらの場合も、剪定によって株内部の湿度と風通しを適正に保つことが、最も根本的な解決策となります。

ハゴロモジャスミンにつく害虫を防ぐ管理と剪定術

害虫を駆除することはもちろん大切ですが、それ以上に重要なのは「虫が寄り付かない健康な株」に育てることです。ハゴロモジャスミンは本来非常に丈夫な植物ですが、不適切な環境管理やお手入れのミスが重なると、一気に弱って害虫の餌食になってしまいます。ここでは、植物の生理に基づいた正しい管理方法と、翌年の花を約束する剪定の極意について、詳細に解説していきます。

葉が赤い原因は低温ストレスや根詰まりのサイン

ハゴロモジャスミンの葉が、秋から冬にかけて赤や紫に変色しているのを見て驚いたことはありませんか。これは病気でも害虫でもなく、多くの場合、植物が環境の変化に反応して作り出す「アントシアニン」という色素によるものです。ハゴロモジャスミンは比較的寒さに強い植物ですが、急激な冷え込みや冷たい霜、冬の寒風にさらされると、細胞を守るために防御反応として葉の色を変化させます。これは人間でいう「防寒着」のようなもので、春になり気温が上昇すると自然に元の緑色に戻りますので、慌てて薬剤を撒く必要はありません。

ただし、気温が高い成長期に葉が赤褐色になる場合は、別のトラブルを疑う必要があります。最も多いのが「根詰まり」です。ハゴロモジャスミンは非常に成長が早いため、鉢植えの場合、1〜2年もすれば鉢の中が根でパンパンになってしまいます。根が行き場を失うと、酸素や水、肥料を十分に吸収できなくなり、株が「水ストレス」や「養分欠乏」を起こして、そのシグナルとして葉を赤く変色させることがあります。また、水はけの悪い土による根腐れでも同様の症状が出ることがあります。

根詰まりの確認方法 鉢の底穴から根が飛び出していたり、水やりをしても土になかなか水が吸い込まれなくなったら根詰まりのサインです。理想的な植え替え時期は、花が終わった後の4月〜6月頃です。一回り大きな鉢に、新しい水はけの良い用土(赤玉土7:腐葉土3の割合など)で植え替えてあげましょう。

肥料不足、特に窒素成分が足りなくなると、下の方の古い葉から赤っぽく変色し、やがて黄色くなって落ちることがあります。花後には「お礼肥」としてリン酸やカリ分を多く含む肥料を与え、株の体力を回復させてあげることが、翌年の害虫耐性を高めることにつながります。

葉が黒い斑点に覆われる真菌性病害への対策

ハゴロモジャスミンの葉に、黒や褐色の斑点がポツポツと現れ、その周囲が黄色く変色して落葉し始めたら、それは褐斑病(かっぱんびょう)黒星病(くろほしびょう)といった真菌性(カビ)の病気かもしれません。これらは特に梅雨時期や秋の長雨など、湿度が高い期間に多発します。病原菌の多くは土の中に潜んでおり、雨や水やりの際に泥が跳ね返って葉の裏に付着することで感染が成立します。一度感染が始まると、胞子が風や水しぶきで周囲に飛び散り、あっという間に株全体に広がってしまうのが特徴です。

病気を防ぐ最大のコツは、「泥跳ね」を物理的にカットすることです。鉢植えであれば、株元にヤシガラ繊維やバークチップを敷く「マルチング」を行うだけで、感染リスクを大幅に下げることができます。また、水やりの際も葉の上からバシャバシャとかけるのではなく、ハス口を株元に近づけて、土に直接染み込ませるように与えましょう。もし黒い斑点が出た葉を見つけたら、すぐに摘み取ってゴミ箱へ捨ててください。地面に落としたままにすると、そこが次の感染源になってしまいます。

また、過湿を好むこれらの菌は、風通しの悪い場所で活性化します。後述する剪定を適切に行い、株の内側まで日光と風が届くようにすることで、薬に頼りすぎない健康な栽培環境が整います。重症化してしまった場合は、農林水産省の登録がある適切な殺菌剤(ダコニールやサプロールなど)を使用しますが、最終的な判断は専門家にご相談ください。正確な情報は農薬の公式ラベルを必ずご確認ください。

翌年に花が咲かない理由と正しい剪定の時期

ハゴロモジャスミンを育てる最大の楽しみは、あの素晴らしい香りと真っ白な花々ですよね。しかし、「葉っぱばかり茂って一向に花が咲かない」という声をよく聞きます。このトラブルの主な原因は、実は剪定の「タイミング」「冬の管理」にあります。まず知っておかなければならないのは、ハゴロモジャスミンの花芽形成には「低温要求性」があるという点です。

秋から冬にかけて、おおむね3℃〜15℃の涼しい環境に1ヶ月以上さらされないと、植物は「春が来た」と認識できず、翌春に花を咲かせることができません。冬でも15℃以上の暖かいリビングなどに置いたままにすると、葉は元気でも花芽が一つもつかないという事態になります。霜が降りる直前までは屋外で寒さに当て、その後は暖房のない涼しい玄関先などで管理するのが開花の秘訣です。

次に重要なのが剪定です。ハゴロモジャスミンは、春に咲き終わった後、夏から秋にかけて新しいつるを勢いよく伸ばします。実は、この新しいつるの先に翌年の花芽が準備されるのです。そのため、9月中旬以降に強く切り戻してしまうと、せっかく作られた花芽をすべて切り落とすことになります。これが「剪定したせいで花が咲かない」と言われる最大の理由です。

ハゴロモジャスミンの剪定黄金スケジュール

  • 花後すぐ(4月下旬〜5月):最も重要な剪定時期。つるを半分程度まで切り戻してもOK。株の骨格を作ります。
  • 初夏(6月〜7月):伸びすぎたつるを整える。風通しを良くするための「間引き」がメイン。
  • 9月上旬まで:この時期までに剪定を完了させる。これ以降はハサミを入れないのが無難。
  • 秋以降:枯れ枝や、著しく邪魔な枝を軽く抜く程度に留める。

剪定の際は、ただ短くするだけでなく、株の根元付近から出ている細くて弱いつるや、内側で重なり合っている枝を元から切り取る「間引き」を意識してください。これにより、カイガラムシやアブラムシの温床となる「蒸れ」を防ぐことができ、害虫予防と開花促進を同時に叶えることができます。

牛乳スプレーや木酢液を使った自然派の防除法

小さなお子様やペットがいるご家庭では、できるだけ化学合成された農薬を使わずに害虫対策をしたいと思われるでしょう。そんな時に頼りになるのが、キッチンにあるものや天然由来の資材を使った「自然派防除」です。アブラムシやハダニに対して高い効果を発揮するのが、古くから伝わる「牛乳スプレー」です。成分は非常にシンプルで、牛乳と水を1:3の割合で混ぜるだけ。これを虫に直接スプレーすると、牛乳が乾燥する際に収縮し、虫の気門(呼吸する穴)を物理的に塞いで窒息死させます。この方法は毒性がないため、非常に安全です。

ただし、牛乳スプレーには注意点もあります。散布した後に放置すると、牛乳の成分が腐敗して悪臭を放ったり、新たなカビの原因になったりします。そのため、スプレーが完全に乾いたのを確認したら(約1〜2時間後)、必ずきれいな水で洗い流してください。この「散布→乾燥→水洗い」のワンセットが鉄則です。

自然派資材期待できる効果作り方・使い方のコツ
牛乳スプレーアブラムシ・ハダニの窒息死牛乳1:水3で混合。乾燥後に必ず水洗いすること。
木酢液(もくさくえき)害虫の忌避・植物の活性化200〜500倍に希釈して定期的に散布。独特の臭いがある。
ニームオイル摂食阻害・孵化抑制天然の苦味成分で虫を寄せ付けない。週に一度の予防散布。
コーヒー・茶殻一部の害虫の忌避乾燥させて株元に撒く。ただしカビに注意が必要。

また、炭を作る際に出る煙を液体にした木酢液もおすすめです。これには殺虫効果そのものはほとんどありませんが、独特の燻製のような香りが虫を寄せ付けない「忌避(きひ)効果」を発揮します。さらに、木酢液に含まれる有機成分は植物の根を強くする効果もあるため、500倍程度に薄めて定期的に葉に散布したり株元に与えたりすることで、害虫に負けない強いハゴロモジャスミンを育てることができます。

間違われやすい毒の有無と安全な育て方のコツ

最後に、インターネット上で時折見かける「ジャスミンには毒があるから危険」という噂について、真実をお伝えします。結論から申し上げますと、本記事の主役であるハゴロモジャスミン(モクセイ科ジャスミン属)には毒性はありません。一般的な園芸店で販売されているものであれば、触れたり、万が一小さなお子様や犬・猫が少し口にしたりしても、中毒を起こすような成分は含まれていない安全な植物です。しかし、なぜ「毒がある」と誤解されているのでしょうか。

その最大の原因は、名前が似ている全く別の植物の存在です。特に黄色い花を咲かせる「カロライナジャスミン」(ゲルセミウム科)には、全草にゲルセミンという強力な神経毒が含まれています。これは誤食すると呼吸麻痺などを引き起こす非常に危険な植物です。

また、観葉植物の「マダガスカルジャスミン」(キョウチクトウ科)も、名前にジャスミンと付きますが、キョウチクトウ科特有の毒性を持っています。これらはジャスミンに似た香りがすることからその名が付けられましたが、植物学的にはハゴロモジャスミンとは全くの別物です。

安全に育てるための品種識別ポイント

  • ハゴロモジャスミン:ピンクの蕾から白い花が咲く。モクセイ科。安全。
  • カロライナジャスミン:黄色いラッパ型の花。ゲルセミウム科。猛毒。
  • マダガスカルジャスミン:厚みのある大きな照り葉、真っ白な筒状花。キョウチクトウ科。有毒。

植物を安全に楽しむためには、ラベルを捨てずに保管し、学名を確認しておくことが大切です。ハゴロモジャスミン(Jasminum polyanthum)であれば、その甘い香りを安心して心ゆくまで堪能してください。正しい知識こそが、あなたと大切な家族、そして植物を守る一番の防具となります。

ハゴロモジャスミンにつく害虫を抑える栽培まとめ

ここまで、ハゴロモジャスミンに発生する害虫の正体から、その背後にある生理障害、そして具体的な駆除・予防法まで詳しく解説してきました。ハゴロモジャスミンを健やかに育てるために最も大切なことは、何よりも「日々の観察」です。葉が少しベタついたり、新芽の形が歪んでいたりといった小さな変化は、植物が発している SOS のサインです。このサインを早くキャッチし、今回ご紹介した「葉水」や「適切な時期の剪定」を実践することで、被害は最小限に抑えることができます。

ハゴロモジャスミンにつく害虫は、風通しの悪さや極端な乾燥といった環境の歪みに付け入ります。まずは殺虫剤を手に取る前に、あなたのハゴロモジャスミンが置かれている環境を、今一度見直してあげてください。適度な日当たり、風通しの良い枝ぶり、そして土の乾き具合に合わせた水やり。これら基本のケアこそが、最強の防虫対策となります。

もし大量発生してしまい、自分の手に負えないと感じた場合は、早めに園芸店や樹木医などの専門家に相談することをお勧めします。本記事の内容は一般的な目安であり、個々の環境や株の状態によって最適な対処法は異なります。香りに包まれる素晴らしいガーデンライフを、あなたが長く楽しめるよう心から応援しています。

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この記事を書いた人

名前(愛称): クジョー博士
本名(設定): 九条 まどか(くじょう まどか)

年齢: 永遠の39歳(※本人談)
職業: 害虫・害獣・害鳥対策の専門家/駆除研究所所長
肩書き:「退治の伝道師」

出身地:日本のどこかの山あい(虫と共に育つ)

経歴:昆虫学・動物生態学を学び、野外調査に20年以上従事
世界中の害虫・害獣の被害と対策法を研究
現在は「虫退治、はじめました。」の管理人として情報発信中

性格:知識豊富で冷静沈着
でもちょっと天然ボケな一面もあり、読者のコメントにめっちゃ喜ぶ
虫にも情がわくタイプだけど、必要な時はビシッと退治

口ぐせ:「彼らにも彼らの事情があるけど、こっちの生活も大事よね」
「退治は愛、でも徹底」

趣味:虫めがね集め

風呂上がりの虫チェック(職業病)

愛用グッズ:特注のマルチ退治ベルト(スプレー、忌避剤、ペンライト内蔵)

ペットのヤモリ「ヤモ太」

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