鳩の焼き鳥は安全?専門店や通販相場から法律・リスクまで解説

インターネットで鳩の焼き鳥について調べていると、実際に食べられる店舗はあるのか、あるいは通販で取り寄せて自分で調理できるのかといった疑問が湧いてきます。また、身近にいる野生の鳩を捕まえて調理することに関する法律や、野生個体が持つ寄生虫などの衛生リスクについて、正しい情報を求めている方も多いのではないでしょうか。国内における食用鳩の流通実態や調理法、そして絶対に避けるべき野生鳩の取り扱いについて、科学的かつ法的な根拠に基づいて詳しく解説します。

近年、ジビエブームの到来により、これまで一般的にはあまり馴染みのなかった鳥獣類の肉が注目される機会が増えました。ハト肉もその中の一つであり、特に海外ではフランス料理をはじめ高級家禽として親しまれてきた歴史があります。しかし、私たちの日常の生活範囲に生息しているドバトなどの野生鳩と、商業生産されて流通している食用鳩は、衛生管理の面でも法的保護の観点でもまったくの別物です。

この記事では、ハト肉を美味しく、そして何よりも安全に楽しむための正しい知識を網羅的にお伝えいたします。

この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。

  • 国内で実際に食用鳩の焼き鳥が食べられる専門店の詳細
  • 通販で入手できる食用仔鳩の処理規格と価格相場
  • 鳥獣保護管理法に基づく野生鳩の捕獲に関する厳格な規制
  • 野生の鳩を自分で解体・捕食することに伴う深刻な感染症リスク
目次

鳩の焼き鳥を楽しめる専門店と選び方

国内の飲食市場における食用ハトの流通は非常に限定的であり、専門性の高い限られた店舗でのみ供される高級食材に位置づけられています。ここでは、本物の食用鳩を炭火焼きやコース料理で堪能できる専門店と、単に店名に「鳩」を冠するだけの通常の焼き鳥店(検索ノイズ)を厳密に区分して解説します。

鳩焼き鳥を楽しめる専門店

国内で安全かつ品質の保証された食用鳩を炭火焼きやコース料理で提供している主要な実店舗は、東京都内の限られたエリアに存在します。高級食材としての扱いが多く、一般の居酒屋や一般的な焼き鳥店では滅多に見かけることはありませんが、特定の専門店やこだわりのジビエバルでは、素晴らしい調理技術によってハト肉特有の旨味を引き出しています。これらのお店は、生産者との太いパイプや、ハンターからの直接の仕入れルートを確立しており、安全性と鮮度の双方において最高基準を満たしているのが大きな特徴です。

港区赤坂「鳩肉屋」

赤坂に位置する「鳩肉屋」は、日本国内で唯一の食用鳩肉料理専門店です。オーナーが海外経験中に触れた鳩肉の極めて豊かな滋味に感銘を受け、日本での普及を決意して立ち上げた店舗です。日本国内には食用ハトを商業飼育する農園が存在しなかったため、自ら千葉県に農園「Pigeon Farm(ピジョンファーム)」を立ち上げ、親鳥の輸入と繁殖から5年を費やして、国内初の国産オーガニック食用鳩の安定的供給を実現しています。

自然農法で肥育された生後30〜40日のフランス系食用鳩(mirthy種、250g〜350g)は、顧客の予約に応じて出荷・朝締め直送されるため、輸入冷凍肉とは一線を画す驚異的な鮮度とコリコリとした弾力的な食感を保持しています。また、屠殺時に血抜きをあえて行わない「エトフェ(窒息)」処理を施すことで、旨味、鉄分、豊富なビタミンを筋肉繊維内に滞留させ、野生味を帯びた濃厚かつジューシーな赤身ステーキを思わせる風味を引き出しているのが特徴です。

提供される料理は3日前までの完全予約制コースのみに絞られています。価格は「お試しショートコース」が6,800円、標準の「鳩肉屋フルコース」が8,800円、オレンジワインをペアリングした接待向けコースが11,000円など、高級食材としては非常にリーズナブルな価格に設定されています。メインとなる焼き鳩肉は「定番クラシカル」「トマトブラックペッパー」「ボタニカル」「チャイナ」「鳩の血ソース」の調味から選択でき、素焼きポットで香ばしく焼かれたのち、食べやすくカットされた状態で土鍋から供されます。

コース内では、砂肝、レバー、ハツ、肺、食道(さえずり)、ぼんじりといった新鮮な部位のホルモンミックス炒めや、極めて珍しい脳(脳味噌)や背肝、ロースト時に抽出された鳩油で炊き上げる土鍋ご飯までを一羽丸ごと堪能することができます。合わせるアルコールは、主にワイン発祥の地とされる黒海周辺諸国で作られたトルコ産赤ワイン(アンシラ)や、オレンジワイン(マカシヴィリムツバネ)が最適です。

店舗情報:鳩肉屋(赤坂)
食用鳩の仕入れ状況や最新のコース内容は変更される場合があるため、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

杉並区西荻窪「WILD NOTE TABLE」

杉並区西荻北に2025年8月23日に開業した「WILD NOTE TABLE」は、オーナーが有害鳥獣駆除員(ハンター)としても活動するプロであり、相模原の山林で自ら狩猟した鹿や猪を中心に提供しているジビエバルです。メニューには、鹿もも肉のたたき、鹿ハツのタイ風ロースト、猪肉のスパイスカレー煮込み、猪肉のラグーパスタなどが並びます。ただし、当該店における食用鳩の常時提供は確認されておらず、あくまで「杉並区における本格ジビエ料理」を楽しめる店舗としての位置づけになります。

食用鳩と店舗名ノイズの違い

インターネット上で「鳩 焼き鳥」という語を入力して情報収集を行う際、検索アルゴリズムが「鳩」という漢字のみを機械的に拾い上げ、実際には食用鳩肉を一切提供していない、通常の鶏専門の焼き鳥店を上位にリストアップしてしまう「店舗名ノイズ」という問題に直面することがよくあります。これらのノイズを排し、真に美味しい食用ハトが味わえるお店を厳選して選ぶことが、外食の失敗を防ぐための重要なポイントです。

例えば、地域で親しまれている大衆酒場や歴史ある個店の中には、店主の名前や創業の地、あるいは縁起の良い言葉として「鳩」の字を看板に採用している事例が多数あります。これらは純粋なハト肉を求めるユーザーにとっては検索上のノイズとなるため、事前にどのようなメニューを提供している店舗なのかを注意深く見分ける必要があります。具体的に混同しやすい代表的な店舗としては、以下のようなお店が挙げられます。

  • 焼鳥 鳩(愛知県名古屋市東区):2014年12月に竣工した、古民家の梁を活かしたスタイリッシュな和モダン店舗。提供されるのは厳選された「鶏」の炭火焼き鳥であり、食用鳩の取り扱いはありません。
  • 鳩家(ハトヤ、埼玉県入間市):西武池袋線入間市駅から徒歩13分にある地域密着型のお食事処・居酒屋。「ひな串」や「もつ串」の焼き鳥、ジューシーな「鶏ももソテー定食(980円)」を主力とする大衆的な鶏料理店であり、ハト肉の提供はありません。
店舗名所在地実食用鳩肉の提供有無主なコース・提供メニュー例特徴・詳細
鳩肉屋東京都港区赤坂有り(千葉県自社農園産「mirthy種」を予約分のみ朝締め直送)鳩肉屋フルコース(8,800円)、お試しショートコース(6,800円)日本唯一の食用鳩肉専門店。エトフェ(窒息)処理を施し、ハツ、レバー、脳から土鍋ご飯まで丸ごと提供。
WILD NOTE TABLE東京都杉並区西荻北無し(主に鹿肉、猪肉を提供)ジビエ盛り合わせ(1,800円)、猪肉ロースト有害鳥獣駆除員(ハンター)の資格を持つオーナーが2025年8月に開業した西荻窪の人気ジビエバル。
焼鳥 鳩愛知県名古屋市東区無し通常の「鶏肉」の炭火串焼き、各種一品料理古民家の風合いを活かしたスタイリッシュな焼き鳥店。食用鳩は扱わない(店舗名由来の検索ノイズ)。
鳩家埼玉県入間市無しひな串、もつ串、鶏ももソテー定食(980円)産業文化センター至近の和食居酒屋。地域で親しまれる大衆的な鶏料理店(店舗名由来の検索ノイズ)。

ピジョノーの仕入れ価格相場

個人でのバーベキューや串焼き、レストランでのメニュー開発を目的に、オンライン通販等を通じた「鳩肉の直接仕入れ」を求めるユーザーに対する相場情報です。フランス料理において高級家禽として不動の地位を築く「ピジョノー(Pigeonneau / 仔鳩)」は、鉄分に富んだ極めて赤身が強く、余分な脂肪のない野生に近いコク深さを持っています。その肉質はとても緻密で柔らかく、家禽類の中でも最上級の扱いを受けています。

市場で入手可能な食用鳩肉は、基本的に「頭部、足、内臓が付いた丸鶏(中抜きなし、毛なし)」の状態で冷凍または冷蔵(フレッシュ)の形式で出荷されます。特に、針などで脳を破壊して即死させ、血抜きを行わずに体内に血液を残すフランス発祥の伝統技法「エトフェ処理(窒息タイプ)」を施されたものは、血の濃厚な風味が筋肉へ回り、調理時に他に類を見ない官能的で奥深いコクと旨味が生まれるため、高級ランクとして取り扱われます。エトフェを行うことで、肉本来の赤みがより鮮やかになり、焼き上げた際のジューシーさと鉄分の風味が飛躍的に高まります。

生産地・規格配送状態目安重量(1羽)参考取引価格帯(税込・送料別)食味の特徴および用途適合
中国産 食用仔鳩冷凍(頭・内臓付、エトフェ)約250g 〜 300g2,880円 〜 3,280円比較的安価でサイズもやや小ぶり。中国広東風の「脆皮乳鸽」などの揚げ・ロースト料理や、タレを使った焼き鳥に適する。
フランス ランド産 仔鳩冷凍 / 冷蔵(頭・内臓付、エトフェ)約400g 〜 450g3,996円 〜 4,986円高級家禽の産地。肉付きが良く柔らかい。フレンチのグリルや、胸肉、モモ肉を細分化した焼き鳥の串打ちに最適。
フランス ランド産(特大)冷凍 / 冷蔵(頭・内臓付、エトフェ)約500g 〜 700g4,752円 〜 5,742円通常の仔鳩より一回り大きい。骨から肉を削ぎやすく、厚みのある肉質なためローストや豪快な網焼きに最適。
フランス ブレス産 仔鳩冷凍 / 冷蔵(頭・内臓付)約450g 〜 500g7,128円 〜 8,118円最上級のAOCブランド家禽。筋肉のきめ細やかさと上品な甘み、濃厚な赤身の香りを備え、シンプルな塩焼き鳥に極めて良く合う。
フランス ラカン産 仔鳩冷蔵(頭・モツ入り、エトフェ)約550g15,800円前後超高級レストラン向けの最上級チルド品。ジビエに比肩する奥深いコクを持ちつつ、一切のクセがない逸品。

※上記の価格はあくまで一般的な市場目安であり、流通ルートや時期によって変動します。

焼き鳥に適した鳩肉の調理法

鳩を調理・食用にする文化は世界的にメジャーです。かつて日本でも焼き鳥や煮物、細かく叩いたハト肉を味噌と酒で煮込んだ「濃漿(こくしょう)」といった滋養食として普及していました。ハトは古来より世界中で高タンパク・低脂質の栄養源として珍重されてきた食材です。フランス料理においては「すべての家禽類の王様」とも評され、特別な日の晩餐を飾る一皿として今もなお受け継がれています。

世界に目を向けると、フランスでは骨や内臓から取った濃厚な出汁と赤ワインベースのソースで軽くローストした肉を煮込む「鳩のサルミ(Salmis de pigeon)」が王道です。

中国広東料理における「脆皮乳鸽(ツウェイピールーゲァ)」は、五香粉などで下味をつけた仔鳩に熱い油を何度も手作業でかけ回し、皮を北京ダックのようにパリッと、内部の肉汁を驚異的にジューシーに仕上げます。エジプトでは、お腹の中に「フリーカ」と呼ばれる未熟雑穀やお米を詰め込んでオーブンで焼き上げる「ハマーム・マハシー(Hammam Mahshi)」がご馳走として親しまれています。

家庭やBBQ等で、狩猟によって合法的に入手した野生のキジバト(ヤマバト)や通販のピジョノーを焼き鳥にする場合、以下の下処理と火入れの技術が重要になります。

鳩肉の下処理と焼き方の極意

  • 丁寧な解体:キジバトの羽毛は撫でるだけで容易に剥がれ落ちるため、下処理は比較的容易です。飛翔能力が高いため「竜骨突起(胸骨)」が大きく発達し、胸肉(ハトムネ)とササミが驚くほど大きい一方、モモ肉は著しく小さいという極端な体躯バランスを持ちます。
  • 牛乳による臭み消し:切り分けたムネ肉やハツ、レバー、砂肝を「牛乳に約1時間」漬け込んでおくことで、ジビエ特有の雑味が和らぎ、本来の上品な風味を際立たせることができます。
  • スチーム効果と火入れ:脂肪分がほぼ皆無に等しいハトの赤身は、直火で加熱しすぎると瞬時に干からびて硬くなります。熱伝導の良い金串を打ち、弱火から中火でじっくりとローストし、仕上げに強火で焦げ目を香ばしくつけるか、あらかじめ200℃に温めたオーブンで15〜20分前後でしっとりと火を通すのがプロのコツです。

鳩焼き鳥の部位と魅力

適切に火入れされた鳩の焼き鳥は、鶏肉というよりは、極めて柔らかくジューシーな「牛肉の赤身フィレ肉」に近いコク深い食感を持っています。僅かな鉄分(レバーに似た野性味)と、特有のミルキーで甘美な香りを放つのが最大の魅力です。水分量が極めて多く保たれた状態で熱が通ると、まるで上品な血のスープをそのまま肉に閉じ込めたかのような、圧倒的な旨味が口いっぱいに広がります。

中抜き処理を行う際、お尻部分から指を挿入して内臓を引き抜くことで、ハツ(心臓)、レバー(肝臓)、砂肝(砂嚢)をそれぞれ綺麗に摘出することができます。これらは焼き鳥の串打ち用パーツとして極めて優れた味を持っています。特に脂が乗った「ぼんじり」部位は、とろけるような至福の脂乗りを感じさせ、塩とコショウのみのシンプルな調味で最も高いパフォーマンスを発揮します。

また、焼き鳥の定番である希少部位「ハツモト(こころのこり)」を串打ちする場合、1本の串を作るために約5羽分もの心臓が必要となり、非常に贅沢な一本となります。これらのホルモン類は鮮度が命であるため、適切な仕入れルートからのみ得られる極上の味わいと言えます。

鳩焼き鳥をめぐる法的規制と衛生リスク

「その辺の公園や神社の境内にいる鳩を捕まえて、自分で焼き鳥にできないか」という疑問を抱く方もいるかもしれませんが、日本の法律および医学・衛生上の観点から、野生の鳩を無許可で捕獲し、個人で食すことは極めて深刻なリスクを伴います。ここでは、知っておくべき法的規制と、健康を脅かす感染症リスクについて詳しく解説します。

焼き鳥にする野生鳩の法的区分

日本における野生鳩は、大きく「ドバト(カワラバト)」と「キジバト(ヤマバト)」に分類され、鳥獣保護管理法における取り扱いが完全に異なっています。一般の方が最も見かける頻度の高いのがドバトですが、これらを捕獲する行為自体が厳しく制限されています。法律の定義や規制内容を無視した勝手な自己解釈は、意図しない法律違反を引き起こす引き金になりかねません。

結論から申し上げますと、都市部の公園やマンションのベランダなどで見かけるドバト(カワラバト)を無許可で捕獲・殺傷することは、すべて重大な法律違反(犯罪行為)となります。たとえ自宅のベランダを糞便で汚され、甚大な被害を受けている場合であっても、自分でハトを捕獲したり、卵を捨てたり、ヒナがいる状態の巣を撤去することはすべて違法行為に該当します。この点において、法律は非常に強固な保護の姿勢を貫いており、野生鳥獣の勝手な捕食や処理は厳格な罰則の対象です。

(出典:環境省「鳥獣保護管理法の概要」

ドバトとキジバトの捕獲規制

ドバトは「非狩猟鳥獣」に分類されているため、一般市民が勝手に駆除することはできません。野生生物が引き起こす被害が深刻であっても、個人の判断で捕まえて焼き鳥に加工することは絶対に認められていません。一方で、山林や農村地に生息し、体色が茶色とグレーでウロコ状の模様が特徴のキジバト(ヤマバト)は「狩猟鳥獣」に分類されているため、所定のルールを満たした上で捕獲し、焼き鳥などにして食用に利用することが認められています。

捕獲における厳格なルールとペナルティ

  • 合法的な狩猟の要件:公安委員会の許可を経た狩猟免許(空気銃、散弾銃、または罠など)を保持し、該当都道府県への登録および狩猟税を完納した上で、指定された冬期の「狩猟期間」内に、指定区域内かつ一日あたりの制限羽数内で捕獲する場合に限られます。
  • 厳しいペナルティ:鳥獣保護管理法に違反し、無許可でドバトを捕獲したり、ルールを無視してキジバトを密猟した場合、1年以下の懲役、又は100万円以下の罰金という重い刑事罰が科されます。実際に、ベランダの鳩を粘着シートで捕獲したり、公園の鳩を食べる目的でエアガンなどで射殺した一般市民が逮捕・書類送検される事件が毎年発生しています。

なお、ベランダへのハトの侵入を防ぐために、物理的に本体を傷つけない「防鳥ネット(ドバトの体長約30〜35cmの侵入を阻止する25mm〜50mmのマス目のもの)」の設置、忌避剤(スプレー、固形、ジェル)の使用、CDやレーザーポインターでの追い払いは合法的手段とされています。

野生動物の捕獲や駆除の判断に関しては法律が複雑に絡むため、最終的な判断は専門家にご相談ください。勝手な判断による密猟や違法駆除は、重い前科を背負うことになりかねない、きわめてリスクの高い行為なのです。

鳩の解体に伴う感染症リスク

法的要件をクリアしてキジバトを合法的に狩猟できたとしても、野生の鳩を個人で解体・捕食する行為は、医学的・衛生的な観点から極めて深刻な健康破壊のリスクを伴います。市街地を徘徊し、ゴミや不衛生な泥水をすすって生きているようなドバトは論外ですが、一見清潔に見える山林のキジバトであっても、その体表や体内には未知の寄生虫や無数の病原体がうごめいています。解体や精肉のプロセスは、これらと最も近距離で直接接触する高リスクな作業です。

野生ハトの身体や排泄物は「人獣共通感染症(ズーノーシス)」の媒介巣であり、その病原体の保有・感染率は想像を絶する水準にあります。解体時に飛び散る羽毛や、乾燥して粉末状になった糞便を吸入すること、あるいは素手で肉を扱う過程で、重篤な疾患を引き起こす細菌や真菌、原虫が体内に容易に侵入します。

空気中に浮遊した目に見えないフンの粉塵を吸い込むだけで、呼吸器から全身へと感染症が広がる恐怖があるのです。十分な減圧設備や滅菌体制がない一般家庭におけるジビエ解体は、自らを深刻なバイオハザードにさらす行為にほかなりません。

鳩を摂取する際の人獣共通感染症

野生鳩から人間に直接的・間接的に伝染し、命に関わる重篤な臨床症状をもたらす主要な病原体は多岐にわたります。生焼けや加熱不十分な状態の肉を摂取したり、解体時に病原体を口や鼻の粘膜から取り込んでしまうことで、日常の風邪とは比較にならないレベルの重い後遺症や致死的な病気を引き起こします。

オウム病(Chlamydia psittaci)

原因菌であるクラミジアの野生鳩における保有率は約30%〜70%と非常に高確率です。ハトの唾液や乾燥したフンが空気中へほこりとして飛散し、それを吸入したり、肉解体時の粘膜接触によって容易に感染します。1〜2週間の潜伏期間を経て、突然の40℃近い超高熱、激甚な頭痛、呼吸器症状を伴う重篤な「オウム病肺炎」を引き起こします。高齢者や免疫力が低下している方では、呼吸不全により死に至るケースもあります。

(出典:厚生労働省「オウム病について」

クリプトコックス症(Cryptococcus)

カビ(真菌)の一種であり、特にハトの糞に含まれる窒素成分を好んで増殖します。乾燥した排泄物の中で2年以上も生存する強靭な耐久力を持ちます。フンの微細粒子と共に胞子を吸入することで感染し、肺から血流を経由して脳や髄膜へ移行、「クリプトコックス髄膜炎」を発症させます。進行すると激しい頭痛、意識混濁、記憶障害を伴い、致死率が高く、命を取り留めても手足の麻痺などの重篤な神経系後遺症が残ることが確認されています。

サルモネラ菌食中毒(Salmonella)

野生鳩の約2%が常時排泄物内に排出している、非常に強力な腸管内細菌です。ほんの僅かな菌数であっても口に入ることで感染が成立します。ハトの肉を半生(焼き鳥のミディアムレア等)で食べたり、まな板や手などの交叉汚染により摂取されると、激しい腹痛、水様性下痢、突然の高熱、嘔吐を引き起こします。

トキソプラズマ症(Toxoplasma gondii)

加熱が著しく不十分なハトの肉(組織内の原虫シスト)を食べることで経口感染します。健康な大人であれば無症状か軽微な風邪症状で済みますが、妊娠中の女性が初感染した場合、胎盤を通じて胎児に感染し、流産や死産、あるいは出生後の子供に小頭症、知的障害、重い視力障害などの重大な先天的障害を残す危険性が極めて高い病気です。

日本脳炎・鳥インフルエンザなど

ハトがウイルスを保有し、コガタアカイエ蚊の吸血活動を介して感染する「日本脳炎」や、体表の羽毛や粘膜に触れることで感染する「鳥インフルエンザ」など、致死率が高く深刻な後遺症をもたらすウイルスも媒介されます。万が一、野生鳩と接触した後に高熱や呼吸器症状、下痢などの身体異常を自覚した場合は、直接医療機関に突入する前に、必ず管轄の「保健所」へ電話連絡を行い、指示を得てマスクを着用した上で専門医の検査を受けてください。

野生鳩を扱う危険性と注意点

さらに、野生ハトの排泄物や羽毛、ベランダに放置された巣は、単に目に見えない病原体に留まらず、肉眼で視認できる不快・有害害虫の繁殖プラットフォームとなります。一度ハトが生活圏に定着してしまうと、周囲の物理的環境が急激に汚染され、そこから派生するダニやノミ、寄生虫による二次被害が甚大なものとなります。ハトのフンには大量のダニやノミが寄生・繁殖するだけでなく、ハトの体表そのものが害虫の媒介手段として機能します。

さらに、ハトのフンに含まれる高濃度の有機成分は、屋外のあらゆる場所に生息する「ゴキブリ」や有害害虫を強力に誘引する要因となります。これが家屋やベランダ周辺への二次的侵入を引き起こし、室内の衛生環境を壊滅させるとともに、深刻なダニアレルギー、喘息、皮膚炎、鼻炎などの重篤なアレルギー反応を併発させる原因となります。ハトが身近にいるという状況は、私たちの想像以上に生活空間を蝕む脅威なのです。

野生鳩の自己処理は「破滅的行為」である

このように、法的な罰則リスクと、命に関わる多重的な衛生リスクの両側面から鑑みても、その辺の野生鳩を自分で捕獲して焼き鳥にして食べる行為は、自らの社会的地位と健康な身体を完全に破壊するきわめて危険な「破滅的行為」です。絶対に避けてください。

安全に鳩焼き鳥を楽しむ:まとめ

「鳩 焼き鳥」という食への探究心や好奇心を満たすためには、ルールと安全を徹底することが大前提です。商業的に徹底した衛生管理のもとで肥育された「ピジョノー(食用仔鳩)」を味わうことは、グルメとして最高の体験になりますが、その裏に潜むリスク(野生鳩の勝手な捕食や、誤った処理に伴う致命的な感染症)を十分に理解し、絶対に越えてはならない境界線を把握しておかなければなりません。

安全かつ合法的に鳩の焼き鳥を楽しむための核心的なポイントを、もう一度おさらいしましょう。

  • 専門店を利用する:日本唯一の食用鳩肉専門店である赤坂の「鳩肉屋」や、プロの職人がジビエを提供する丸の内の「鳥歐」など、食品衛生法を遵守し、厳格な品質管理を行っている実店舗を利用するのが最も安全で確実です。
  • 通販を活用して自宅で調理する:どうしても自分で調理してみたい場合は、フランス産(ランド産やブレス産)など、安全基準をクリアしてエトフェ処理が施された信頼できる輸入食用仔鳩肉(ピジョノー)を正規の輸入商社や通販から仕入れ、中心部まで徹底的に加熱調理(75℃1分以上)してください。
  • 野生鳩には絶対に手を触れない:街中のドバトの無許可捕獲は鳥獣保護管理法違反で現行犯逮捕の対象となるだけでなく、オウム病やクリプトコックス症などの致死性の人獣共通感染症、さらにダニやゴキブリによる二次被害を招きます。

正しい知識を持ち、専門の店舗や安全な食材ルートを活用して、最高峰のジビエ・鳩肉の奥深い滋味を堪能してください。

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この記事を書いた人

名前(愛称): クジョー博士
本名(設定): 九条 まどか(くじょう まどか)

年齢: 永遠の39歳(※本人談)
職業: 害虫・害獣・害鳥対策の専門家/駆除研究所所長
肩書き:「退治の伝道師」

出身地:日本のどこかの山あい(虫と共に育つ)

経歴:昆虫学・動物生態学を学び、野外調査に20年以上従事
世界中の害虫・害獣の被害と対策法を研究
現在は「虫退治、はじめました。」の管理人として情報発信中

性格:知識豊富で冷静沈着
でもちょっと天然ボケな一面もあり、読者のコメントにめっちゃ喜ぶ
虫にも情がわくタイプだけど、必要な時はビシッと退治

口ぐせ:「彼らにも彼らの事情があるけど、こっちの生活も大事よね」
「退治は愛、でも徹底」

趣味:虫めがね集め

風呂上がりの虫チェック(職業病)

愛用グッズ:特注のマルチ退治ベルト(スプレー、忌避剤、ペンライト内蔵)

ペットのヤモリ「ヤモ太」

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