新築の住宅に暮らし始めたばかりなのに、天井裏から物音が聞こえたり、見慣れないフンを見つけたりすると、不安になる方も多いのではないでしょうか。
実は「新しい家だからネズミは出ない」というのは誤解で、建物の構造や周囲の環境によっては、ネズミが侵入してくることがあります。
特に「ネズミはどこから侵入してくるのか」を正しく理解していないと、知らぬ間に被害が広がってしまうこともあります。
本記事では、ネズミが好む新築住宅の特徴や、建築段階でのネズミ対策とはどのようなものかを丁寧に解説しています。また、住み始めた後にできる防鼠対策や、万が一ネズミが出た場合の初期対応方法についても具体的に紹介します。
快適な新生活を守るために、ネズミ被害を未然に防ぎ、万が一の際にも適切に対応できるよう、ぜひ最後までご覧ください。
この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。
- ネズミが新築住宅に侵入する原因と経路
- 新築住宅がネズミに好まれやすい理由
- 建築時と引き渡し後に行うべき防鼠対策
- ネズミ発見時の初期対応と業者依頼の判断基準
新築でネズミが出る原因と対策
ネズミはどこから侵入してくるのか
ネズミが好む新築住宅の特徴
建築段階でのネズミ対策とは
引き渡し後にできる防鼠対策
ネズミが出た場合の初期対応方法
ネズミはどこから侵入してくるのか

住宅は「完全密閉」でない限り、どんなタイプでも侵入リスクを抱えています。
家ネズミ(ハツカネズミなど)は体の柔軟性が高く、直径6〜7mm(約1/4インチ)程度の開口でも肩をすぼめて通過できます。
したがって、鉛筆の太さに満たない隙間でも“入口”になり得ます。
特に新築では、仕上げ工程で生じた微細なクリアランスや、設備貫通部の処理漏れが盲点です。
侵入経路になりやすい箇所として、配管まわり(給水・排水・ガス・電気)、床下換気口、屋根裏の通気口、エアコン配管穴、サッシまわりの納まり、外壁と基礎の取り合い、点検口の隙間などが挙げられます。
これらは住宅の機能上必要な開口である一方、金属メッシュ(開口6mm未満)や防鼠パテなどでの確実な封止がなければ、ネズミの通路に転じます。
雨仕舞いのための笠木や水切りの下端、ベランダの排水目皿周囲、戸当たりの下部クリアランスも忘れずに確認しましょう。
点検のコツとしては、夕暮れ〜夜間に外周をライトで照らし、擦過痕(黒っぽい皮脂汚れ)、齧り痕(2〜3mm幅の平行溝)、フン(ハツカネズミで長径3〜6mm)を手掛かりにルートを推定します。
配線・配管の“貫通→空洞→開口”という三点が一直線で連続していると、屋外から屋内深部まで“トンネル”が成立しやすくなります。
新築であっても「どこにどんなリスクが潜むか」を知り、施工直後から封鎖・監視を組み合わせることが効果的です。(出典:米国CDC “Preventing Rodents from Entering the Home by Rodent-Proofing” MMWR:>1/4インチ(>6mm)の隙間封鎖を推奨)
ネズミが好む新築住宅の特徴

新築は清潔で匂いが薄い一方、構造体の空隙が多層に連続しやすいのが特徴です。
床下の大引・束まわり、壁内の断熱層(グラスウール・発泡系)、天井懐や小屋裏は、暗所・無風・安定温度が揃うため、巣材の搬入・営巣に適します。
断熱材は軽量で繊維が絡み、体温保持性が高いため、少量の咬み取りで直径10〜20cm規模の巣を形成できます。
防湿・気密シートのわずかな破れも通路化しやすく、点検時は継ぎ目・貫通部のテーピング状態を重視します。
住宅地では、生ゴミ・ペットフード・鳥のエサ、菜園の落果など低カロリーでも継続供給される餌源が点在します。
さらに、人の出入りがある=天敵(猛禽・蛇)や競合(外猫・他個体群)の侵入確率が下がることから、安全性が高い採餌場として選好されます。
新築特有の「素材の新しさ」も、嗅覚閾値の低い個体にとっては探索対象になりやすく、設備稼働前の静音環境は聴覚に優れるネズミにとって警戒刺激が少ない状態です。
これらはすべての新築に当てはまるわけではありませんが、“隠れる・温かい・餌がある”の三条件がそろう設計・運用ではリスクが上がります。
設計意図を損なわずに、空隙の分断・餌源の遮断・通路の遮蔽という三本柱で予防設計を加えると安全域が広がります。
建築段階でのネズミ対策とは

もっとも費用対効果が高いのは、建築段階での物理的排除(エクスクルージョン)です。
後施工では届きにくい壁内・床下・天井懐の“見えない場所”ほど、今のうちに手当てする価値があります。
まず設計・施工で徹底したいのは、「連続する隙間」を作らないこと。基礎と土台、貫通スリーブと仕上げ材、モルタルと配管、サッシと躯体など異種材の取り合いは収縮差で微細なクリアランスが生まれやすい部位です。
ここに防鼠パテ(非硬化型・難食型)を根元から充填し、外側は金属メッシュ(ハードウェアクロス:開口6mm未満/16〜19ゲージ)で機械的に封じる二層構成が堅実です。
通気・換気が必要な開口は、防錆処理したステンレスや亜鉛メッキのメッシュで寸法合わせし、ビス止め+シーリングで“捲れ”を防ぎます。
電気配線・通信配線・ドレン・ベント類のスリーブ長さ不足や貫通角度の甘さは、後に配管保温材→壁内→天井裏へと続く通路を形成しがちです。
配管支持金物の孔も通路化するため、プレート裏の余孔は金属板で盲当てし、固定ビス部にもシールを回します。
床下は基礎貫通部を内外両側から照明確認し、“光漏れゼロ”を目視基準に。
小屋裏は軒・ケラバ・棟の通気連絡にメッシュ挿入、軒天の点検口はパッキン付きにして隙間風を抑えます。
この段階で検査フロー(開口一覧→施工写真→是正記録→再確認)を設け、引渡し資料に貫通部台帳を添付しておくと、将来のリフォームや設備更新時に“開けてはいけない封鎖点”を誤って開放する事故を防げます。
建物の基本性能(通気・防露・防火)を損なわない範囲で、“見えない異常が起きない設計”を目指すのが理想です。
引き渡し後にできる防鼠対策

入居後は「餌・水・隠れ場所」の三要素管理が主役です。
開封済み食品は気密容器へ、ペットフードは与え切りを徹底。生ゴミは当日密閉し、屋外ストッカーはロック付き+パッキン蓋を選びます。
キッチン・洗面・トイレの床排水トラップの封水切れは臭気とともに誘引因子になるため、長期不使用の排水は月1回の通水で封水を回復させましょう。
家屋点検は“季節×劣化部位”を意識します。
梅雨前後は屋外シーリングの痩せ、台風後は換気フードの反り・メッシュの外れ、冬期は床下パテの硬化収縮を重点に。
3〜4か月ごとに外周と床下点検口・小屋裏点検口を開け、ライトと鏡で四隅・梁上・配管背面を覗き込み、フン・巣材・齧り粉・擦過痕の有無を記録します。
わずかな異常でも早期の是正(充填・補修)が拡大防止に直結します。
補助手段として、嗜好性忌避剤(ハーブ系・ナフタレン臭様の刺激臭)や超音波装置を通路想定エリアに限定配置すると、侵入・滞在のハードルを一段上げる効果が期待できます。
ただし忌避は“慣れ”や“死角”の問題があるため、物理封鎖の代替にはならない点を踏まえ、封鎖>衛生管理>忌避の順で優先度を付けると運用が安定します。
ネズミが出た場合の初期対応方法

目撃時は、まず追い回さないことが重要です。
驚かせると壁内・天井裏の奥へ逃げ込み、位置特定が困難になります。
落ち着いて状況記録(時間・場所・行動)を取り、侵入経路の仮説を立てると次の手が打ちやすくなります。
第一ステップは侵入口の特定と封鎖。フンのサイズと形状(ハツカネズミ:3〜6mmの両端尖り/クマネズミ:6〜12mm)や、新旧混在の有無で活動線を読みます。
見つけた孔はその場で仮封(防鼠パテ・金網・アルミテープ+金属プレート併用)し、“仮でも通れない”状態を先に作ります。
水回りやガス機器周辺は安全に留意し、通気・排気機能を損なわない範囲で行います。
第二ステップは捕獲・排除。
粘着シートは壁沿い・通路の両側並行配置(10〜20cm間隔)、箱わなは誘導板で進入口を狭めて設置するとヒット率が上がります。
ペット・小児の動線から離し、夜間〜早朝の活動ピークに合わせてセットします。
超音波忌避は通路遮断の補助として、配置場所の“抜け”を作らないことがポイントです。
第三ステップは複数個体前提の継続監視。一匹捕獲=終息ではありません。
トレイルカメラやトラッキングパウダー(無毒の白色粉)で再侵入の有無を可視化し、48〜72時間のサイクルで封鎖・捕獲の位置を微調整します。
配線や断熱材の齧損は火災・漏水リスクに直結するため、被害が疑われる場合や天井裏・壁内での走行音が続く場合は、専門業者への早期相談が安全です。
初動はスピードと順序(封鎖→捕獲→清掃・消毒→再点検)が肝心です。
特に清掃時の吸い込みには注意し、手袋・マスク(防塵等級推奨)を着用のうえ、濡らして拭き取る手順で二次飛散を防止します。
終息後も季節ごとの定期点検を続けることで再発率を低く保てます。
新築なのにネズミ被害が続く理由
一度侵入されると被害が長引く理由
壁や天井裏でのネズミの行動パターン
音や臭いでわかるネズミの存在
ネズミ駆除業者に依頼すべきタイミング
放置すると健康被害のリスクも
保証や保険で対応できるケースとは
一度侵入されると被害が長引く理由

ネズミは一度住宅内に侵入すると、その環境が安全で快適であれば居ついてしまい、数を増やしながら長期間にわたって被害を与え続けます。
ネズミの繁殖力は非常に高く、1匹のメスが年に数回出産し、1回あたりの出産で6~10匹の子を産むことが珍しくありません。
このようにして、数か月も経たないうちに一気に個体数が増加し、被害が深刻化していきます。
さらに問題なのが、ネズミは非常に警戒心が強く、知能も高い動物である点です。
一度人間に見つかった場所を避ける習性があり、粘着シートや罠を回避することもあります。
こうした習性により、捕まえることが困難になり、対処が長引いてしまうのです。
また、天井裏や壁の中といった目の届かない場所で活動するため、被害の全体像を把握しにくく、知らないうちに断熱材が破壊されていたり、配線がかじられていたりするケースも少なくありません。
これにより、修復にかかる時間や費用が増加し、精神的なストレスも重なっていきます。
このような理由から、ネズミに一度でも侵入されると短期間で完全に解決するのが難しくなり、結果として被害が長引いてしまうのです。
壁や天井裏でのネズミの行動パターン

ネズミが家の中でどのように行動しているのかを知ることは、対策を行う上でとても重要です。
特に壁や天井裏は人目につかないため、ネズミにとっては安全で落ち着ける格好の移動経路になります。
まず、ネズミは夜行性であるため、主に深夜から早朝にかけて活発に動きます。
この時間帯には天井裏や壁の中で「カサカサ」「ガリガリ」といった物音がすることがよくあります。
これは、配線や木材をかじっていたり、移動している際に足音が響いていたりするためです。
また、ネズミは同じ経路を何度も通る習性があります。
天井裏の梁や配線ダクトの上など、安定していて外敵のいない場所を好んで移動します。
壁の中も配線やパイプに沿って動くことが多く、こうした場所を伝って台所や食品の保管場所へと向かいます。
さらに、巣を作る際は断熱材や布、紙などを集めて壁の空洞部分や天井裏の隅に巣を構える傾向があります。
そこに子ネズミを産み育てるため、一度営巣されると短期間で数が増え、活動範囲が広がります。
このような行動パターンを理解することで、対策の重点を置くべき箇所を見極めやすくなり、より効果的な防除につなげることができます。
音や臭いでわかるネズミの存在

ネズミの存在に気づく最初のサインは、実は「音」と「臭い」であることが多いです。
視覚的にネズミを目撃する前に、何らかの違和感を感じるケースが非常に多くあります。
音に関しては、特に夜間に天井や壁から聞こえるカサカサ、ガリガリという異音が代表的です。
これはネズミが走り回っていたり、物をかじっていたりする際の音であり、住宅の静けさの中で非常に目立ちます。
また、比較的小さなネズミであっても足音が響くことがあり、不規則な物音に気づいたら要注意です。
臭いについては、ネズミ特有の「アンモニア臭」が挙げられます。
これは尿やフンが蓄積した際に発生する刺激臭で、時間が経つほどに家の中に染みつきやすくなります。
特に空気のこもりやすい天井裏や床下などでは、強烈な臭いを放つこともあります。
他にも、食品の袋がかじられていたり、ペットの様子が変わったりといった間接的なサインもありますが、音と臭いは最も分かりやすく、早期発見の手がかりになります。
このため、普段と違う音や異臭に気づいた際には、すぐに調査を行うことが大切です。
ネズミ駆除業者に依頼すべきタイミング

ネズミ駆除業者に依頼するべきタイミングは、「自分での対応に限界を感じたとき」が最も適しています。
ネズミの被害は初期段階であれば市販のグッズで対処可能なこともありますが、いくつかのサインが出た場合は早急なプロの対応が必要です。
例えば、ネズミの足音やフンが毎日のように確認される場合や、粘着シートや罠を設置しても捕まらない場合などは、すでに複数の個体が生息している可能性があります。
特に、壁や天井裏に営巣されていると、自力での駆除は非常に困難です。
また、家の配線をかじられた形跡がある場合は、火災などの二次被害のリスクもあるため、迷わず専門業者に依頼すべきです。
業者は侵入経路の特定から封鎖、巣の撤去、フン尿の消毒、再発防止策まで一括で対応してくれるため、安全かつ確実に問題を解決できます。
ネズミは一度繁殖を始めると急速に被害が拡大します。
放置する時間が長いほど状況は悪化するため、異変を感じた時点で専門業者への相談を検討すべきです。
放置すると健康被害のリスクも

ネズミの被害は住宅の破損や不快な音だけにとどまりません。
最大のリスクは、住人の健康に深刻な影響を及ぼす点にあります。これは小さな動物であっても見過ごせない、非常に重大な問題です。
まず、ネズミのフンや尿には多くの細菌やウイルスが含まれており、空気中に飛散することでアレルギー症状や呼吸器疾患の原因になることがあります。
特に免疫力が低い高齢者や小さな子どもがいる家庭では、その影響が顕著に出る可能性があるため注意が必要です。
また、ネズミが媒介する代表的な感染症には、レプトスピラ症やサルモネラ症、ハンタウイルス感染症などがあり、いずれも重篤化するリスクを含んでいます。
これらはネズミの体液や排泄物に直接触れることで感染することが多く、知らぬ間に家庭内で感染源が広がることもあります。
さらに、ネズミが食品をかじったりすることで食中毒の原因にもなり得ます。
衛生的な環境を保つためにも、ネズミの存在は決して軽視できるものではありません。
健康被害を避けるには、ネズミの痕跡を見つけた時点で早めに対処し、適切な衛生管理を徹底することが何よりも重要です。
保証や保険で対応できるケースとは

ネズミ被害に遭った場合、状況によっては火災保険や住宅保証制度で費用の一部がカバーされることもあります。
ただし、すべてのケースで適用されるわけではないため、保険の内容をよく確認する必要があります。
まず、火災保険についてですが、通常のプランでは「害獣被害」は対象外となっていることが多いものの、「家財への損害」や「漏電による火災」が起きた場合に限り、特約が適用される可能性があります。
例えば、ネズミが電気配線をかじって漏電し、火災が発生した場合は、火災保険で修復費用をカバーできる場合があります。
一方、住宅保証制度については、新築時に加入した保証内容によって異なります。
一般的に、構造部分の不具合や施工ミスに起因するネズミの侵入については、保証の対象となるケースもあります。
しかし、自然発生的な侵入や、住み始めてからの劣化による隙間などは、対象外とされることがほとんどです。
このように、保険や保証を活用するためには、被害の内容と発生原因を明確にし、専門業者による調査結果をもとに保険会社に相談することが重要です。
いざという時のために、あらかじめ契約内容を見直しておくことをおすすめします。
新築 ネズミ対策まとめ
この記事のまとめです。
- ネズミは1.5cm程度の隙間からも侵入可能
- 配管や通気口の処理不足が主な侵入口となる
- 新築は油断しやすく対策の盲点になりやすい
- 床下や屋根裏の通気設計がネズミの隠れ場になる
- 断熱材が巣作りの材料として利用されやすい
- 餌の確保が容易な環境はネズミを引き寄せる
- 建築時に金網やパテで隙間を塞ぐことが効果的
- 通気口や配管穴には金属ネットの設置が有効
- 電気配線や排水管の隙間も事前に確認が必要
- 食品やゴミ管理を徹底することで誘因を減らせる
- 定期点検で小さな劣化や隙間の早期発見が可能
- 忌避剤や超音波装置は補助的な防鼠手段として使える
- ネズミの足音や異臭で早期発見できる場合がある
- 自力での駆除が難しい場合は業者依頼を検討する
- 保険や保証の適用には事前の契約確認が必要
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