鳩が動かないときの対処法!法律のルールと安全な死骸処理

ベランダの手すりやエアコンの室外機の上で、鳩がじっと固まって動かない様子を目にすることがあります。怪我や病気で動けないのか、それとも何か別の意図があるのか、突然の事態にどう対策すべきか戸惑う方も多いでしょう。

動かない鳩を放置すると、ベランダが彼らにとって快適な場所と認識され、やがてフン害や騒音トラブル、さらには健康被害へと発展する危険性があります。この記事では、鳩がその場所から動かない理由を徹底的に解明し、ベランダへの侵入を未然に防ぐための具体的な対策をステップバイステップでご紹介します。

この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。

  • 鳩がその場所でじっとして動かない生態学的・身体的な理由
  • ベランダへの侵入が本格化する前に実施すべき初期の防除対策
  • 傷病ハトや足環のついた迷い鳩に遭遇した際の正しい保護手順
  • 死骸を発見したときに二次感染を防ぐための安全な自己処理と消毒法

人慣れや都市環境への適応による警戒心の薄れ

現代の都市部に広く生息しているドバト(別名カワラバト)は、もともとヨーロッパや中東などで崖地に生息していた野生種が家畜化され、それがさらに再野生化したという歴史的背景を持っています。この歴史的な経緯から、山林や山奥に生息している他の野生鳥獣と比較して、人間に対する警戒心が生まれつき極めて低いという特異な性質を持っています。彼らは長年にわたり人間社会に依存して生活してきたため、人の往来が多い都市のビル群や公園、住宅地を自らの「新しい崖地」として巧みに適応させてきました。

特に都市部の駅前や大規模な公園、あるいはベランダなど、日常的に人間が頻繁に行き来する場所で生まれ育った鳩は、「人間という存在は自分たちに直接的な危害を加えない安全な生き物である」ということを世代を超えた学習効果として深く体得しています。

このような個体は、わずか数メートルの至近距離まで人間が近づいたとしても、わざわざ大きな羽ばたきエネルギーを消費してまで飛び立つことを避ける傾向があります。鳥類にとって飛翔行動は最も多くのカロリーを消費する活動であるため、安全が確保されていると判断すれば、あえてその場から動かずにじっとしてエネルギーを節約する省エネ行動をとるのです。

一見すると体調が悪そうに固まっているように見えても、実際には「人間が通り過ぎるのをただ無視しているだけ」というケースが多々あります。また、人間が危害を加えないと完全に舐められている状態とも言え、ベランダ等でこの行動が見られた場合は、その場所が彼らにとって「完全に安全な休息場所」としてロックオンされている証拠でもあります。

強力な帰巣本能がもたらす場所への執着心

鳩を語る上で欠かせないのが、地球の磁場や太陽の位置、気圧の変化、さらには超低周波音や特定の匂いなどを総合的に感知して、見知らぬ土地からでも数百キロメートル離れた元の巣へ迷わず戻ることができるという、極めて強力な帰巣本能です。この帰巣本能は、単に「家に戻る能力」というだけでなく、彼らが一度手に入れた「お気に入りの場所」や「自らの縄張り(テリトリー)」に対する異常なまでの固執・執着心とも深く結びついています。彼らにとって一度「ここは安全だ」と認知された場所は、生涯にわたって執着し続ける対象となります。

住宅のベランダやマンションの共用廊下の隅、エアコン室外機の裏側や下側の隙間といった空間は、彼らにとって天敵であるカラスや猫、猛禽類の視線から完全に外れることができる「最高のシェルター」です。また、三方が壁で囲まれているため雨風を防ぐことができ、太陽光パネルの下なども含めて、ドバトの先祖が暮らしていた険しい岩場の隙間にそっくりな構造をしています。

このような理想的な環境を見つけた鳩は、どれだけ人間が手を叩いて驚かせたり、その場から一時的に追い払ったりしたとしても、時間を置いて必ず同じ場所に戻ってきます。強い執着心があるため、人間が接近しても「少し待てば人間はいなくなる」「この場所を手放したくない」という心理から、頑なにその場から動こうとしない強硬な態度を見せます。

この強固な縄張り意識に対抗するためには、中途半端な脅しではなく、その場所の物理的な環境自体を改変して「絶対に滞留できない構造」に作り替えるしか方法はありません。

ベランダ侵入の段階的プロセスと危険度評価

鳩がベランダでじっと動かずに滞留している時間は、侵入の進行度(ステージ)を正確に測るための極めて重要なバロメーターになります。彼らのベランダ侵入は突発的に始まるのではなく、段階を追って少しずつ進行していきます。

最初は「たまに見かける羽休め」程度であっても、その兆候を見逃して適切な防除対策を怠っていると、驚くほどのスピードでベランダが彼らの「住処(ねぐら)」や「繁殖地」へと変貌してしまいます。各段階における特徴を把握し、危険度が低いうちに先手を打つことが最善の防御策となります。

侵入段階主な行動特性と滞留時間危険度推奨される対策
初期(休憩鳩)日中の明るい時間帯に、ベランダの手すりや室外機の上にたまに停留する。周囲に危険がないか「下見」をしており、滞留時間は数分から数十分と短い。★☆☆☆手すりへのテグス設置、こまめな清掃、フンの即座の拭き取りと水洗い。
中期(待機鳩)安全だと確信し、日常的に滞留。仲間との待ち合わせや、近くの餌場へ向かう前の経由地として、数時間にわたり過ごすようになる。お気に入りの場所の固定化が始まる。★★☆☆手すりやエアコン室外機の上など、よく留まる場所に金属製剣山(スパイク)を配置。
後期(ねぐら鳩)夕方から夜間の暗い時間帯に滞留。天敵から身を隠し、ベランダの床や室外機の裏などの死角で本格的に睡眠をとる。夜間の鳴き声や、大量の固まったフンが発生。★★★☆室外機周辺への強力な忌避ジェルの塗布、ベランダ開口部を覆う防鳥ネットの仮設。
末期(営巣鳩)小枝やビニールゴミなどの巣材を執拗に搬入し、巣を完成させてしまう。その後、卵を産み落として繁殖活動を定着させる。侵入者に対する攻撃性や執着は最大化する。★★★★巣の撤去(卵・ヒナがいる場合は法的手続きが必要)と、ベランダ全面を覆う本格的な防鳥ネットの施工。

「手すりにいるうちは大丈夫」と油断していると、彼らは数日のうちにベランダの床へと降り立ち、室外機の隙間に潜り込みます。鳩が床面や室外機の隙間、給湯器の上などでじっと動かずに座り込んでいる姿を見かけたら、それは「待機鳩」から「ねぐら鳩」へとステージが進行している深刻なサインです。ただちに物理的な防除スパイクや、触覚に嫌悪感を与えるプロ仕様の忌避ジェルを設置するなどの強力なアプローチを開始してください。

脳震盪や怪我など物理的身体ダメージによる硬直

もしベランダの床や庭の地面、あるいは路上で、完全に目を閉じて羽をだらりと広げたままうずくまり、微動だにしないハトを発見した場合には、心理的・生態的な理由ではなく、物理的なアクシデントによって重大な身体ダメージを負っている可能性を最優先で疑う必要があります。

鳥類に非常に多く見られるアクシデントが、住宅やビルの「透明な窓ガラス」を全く認識できず、ハイスピードで飛行している最中に頭部から激突してしまう事例です。この衝突により、ハトは激しい脳震盪(のうしんとう)を引き起こします。

衝突直後のハトは一時的に意識を完全に喪失し、全身の筋肉が弛緩するか、逆に極度に硬直してしまい、端から見ると「完全に死んでいる」かのように横たわります。心拍は維持されているため、静かに見守っていると数時間で意識を取り戻し、何事もなかったかのように飛び去ることもありますが、脳内出血などを起こしてそのまま死に至るケースも少なくありません。

また、カラスや猫といった捕食動物に襲われて深い切り傷や骨折などの外傷を負っている場合や、ハトを宿主とする重篤な感染症や体内の寄生虫による内臓疾患、冬期の極度の低温による凍えや夏期の脱水症状(熱中症)などによって、飛翔どころか歩行すら不可能なレベルまで体力を消耗しきっていることも考えられます。このような緊急事態においては、野生生物の生理的適応と物理的トラブルの双方を視野に入れ、無闇に触らずに適切な状況観察を行うことが求められます。

首を振らずに特定の場所で注視する視覚的特性

鳩が首を全く振ることもなく、まるで彫刻のように静止して特定の空間や一点を凝視し続けている姿は、一見すると奇妙で不気味に思えるかもしれません。しかし、この「フリーズ(完全静止)」状態は、彼らが生存を維持するために進化させてきた、極めて合理的かつ特異な視覚構造と生理的メカニズムに裏付けられたものです。

ハトをはじめとする多くの鳥類は、頭骨のサイズに対して眼球が非常に大きく発達しており、眼球を保護・支持するために眼窩(がんか)の中にほぼ完全に固定されています。私たち人間は頭を動かさずとも、眼球をキョロキョロと上下左右に動かすことで視線を滑らかに移動させることができますが、ハトにはそれが不可能です。

ハトが普段歩くときに首を前後にピコピコと激しく振っているのは、実は「歩行による頭部の前進運動に伴い、網膜に映る景色がブレて流れてしまうのを防ぐため」です。歩く際、頭部を一瞬だけ空間の特定の座標に完全静止させ(これをホールド相と呼びます)、その間に網膜上のブレを完全に排除して周囲の動くものや餌となる小さな種子を的確に網膜にフォーカスしています。

つまり、ベランダの手すりなどで鳩が首を全く振らずにフリーズしている状態は、周囲の風景情報を極限まで鮮明に処理するための知的な行動です。天敵が潜んでいないか、人間がこちらに牙をむかないか、近くに安全な餌場や侵入できそうな隙間がないかを、網膜を限界まで稼働させてビジュアル解析している最中なのです。置物のように見えるその姿は、ハトにとっては最も集中して視覚センサーを稼働させている戦闘モードそのものであると言えます。

目次

鳩が動かないときの法律と状況別の正しい対処法

ベランダや敷地内で動かない鳩を発見した際、フンを撒き散らされるのが嫌だからとホウキの柄で乱暴に叩き落としたり、怪我をしていてかわいそうだからと自宅のケージに入れて勝手に飼育・保護し始めたりする行為は、いずれも思わぬ法的トラブルを招く危険を秘めています。

野生動物の取り扱いには、国が定めた厳密なルールが存在します。ここでは、法律の正しい解釈、行政や協力機関のリアルな対応の実態、そして万が一に備えた公衆衛生上の防衛プロトコルを余すところなくレクチャーします。

鳥獣保護管理法の規則による捕獲や駆除の制限

日本国内に生息するすべての野生ハト(市街地に多いドバト、森林や郊外に多いキジバト、アオバトなど)は、「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」の保護下に置かれています。この法律の大きな目的は、野生の生物多様性を確保し、無秩序な乱獲から鳥獣を守ることにあります。

たとえ自分の所有するベランダであっても、あるいは自分の所有地内に迷い込んできた野生のハトであっても、国や都道府県知事の正式な許可を得ることなく、勝手に捕獲したり、傷つけたり、殺処分したりすることは原則として一切認められていません。

重大な法律違反と罰則リスクの具体例

特に注意すべきなのは、以下の行為です。これらは「知らなかった」では済まされない重い法的責任を伴います。

  • ベランダのエアコン室外機の裏などでハトが巣を完成させ、中に「卵」や「ヒナ」が1つでも存在している状態であるにもかかわらず、自治体の有害鳥獣捕獲許可を得ずに、巣ごと卵をゴミ箱へ廃棄したり、近くの公園の植え込みなどへ移動させたりする行為
  • 鳩をベランダから追い払う目的で、市販されている超強力な粘着シート(ネズミ用など)をベランダ床面へ敷き詰め、結果としてハトの羽を接着させて衰弱死させたり、毒餌(殺鼠剤や市販の農薬を混ぜたエサなど)を意図的に給餌して殺傷したりする行為

これらの鳥獣保護管理法の規定に違反した場合、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金という重い罰則が科される可能性があります。また、企業やマンション管理組合の指示でこれらを不適切に行った場合、法人に対しても重い罰金刑が科される「両罰規定」が適用されることもあります。

ただし、法的な抜け道や誤解しやすい点も存在します。例えば、卵を産む前の「作りかけの皿状の小枝の集まり(空の巣)」や、ヒナが完全に巣立って抜け殻となった「古い巣」の撤去については、法的な捕獲・採取の許可を得る必要はなく、敷地所有者の手で即座に撤去・ゴミ処分して構いません。

また、ハトの身体に直接的な接触ダメージを与えない形で、ベランダに防鳥ネットを張る、テグスを手すりの上に架設する、金属製の防鳥スパイクを固定する、ハーブやカプサイシン成分の入ったジェル状の忌避剤を塗布して近づけないようにする、といった「予防的防除行動」は完全に合法であり、一般市民が自由に行うことができます。鳥獣保護管理法の詳細については、一次情報源である環境省の公式ガイドラインをご参照ください。

(参照:環境省「鳥獣保護管理法の概要」

傷病鳥獣の公的救護対象外とされている背景

目の前の路上や自宅の庭で、明らかに翼を怪我して血を流していたり、足を引きずって動けなくなったりしている野生の鳩を発見すると、多くの人が親切心から「行政の役所に連絡すれば、動物愛護の精神で引き取って動物病院で治療してもらえるはずだ」と考えがちです。しかし現実の公的救護の現場は、私たちの想像以上にシビアな役割分担がなされています。

東京都、埼玉県、神奈川県、兵庫県などをはじめとする、全国のほぼすべての自治体の野生鳥獣担当窓口において、ドバト(カワラバト)およびキジバトは「農林水産業や家屋のベランダ等に対し、恒常的な糞尿被害やアレルギー・鳴き声騒音などの生活環境被害を及ぼす野生鳥獣」に指定されています。そのため、傷病野生鳥獣の保護・治療制度の対象外(救護対象外)と厳格に規定されています。

行政が一般市民から弱ったドバトやキジバトの通報を受けても、税金を投じて治療・野生復帰のためのリハビリを行うことは原則としてありません。行政窓口の公式な回答は一貫して「自然界の弱肉強食のサイクル(自然の摂理)に任せて、手を出さずにそのままそっとしておいてください」という指導方針に統一されています。

傷病ハトをどうしても見捨てることができず、救いたいと考える場合は、民間ボランティア団体(例えばJWC:ジャパンワイルドライフセンターや、WRV:野生動物救護獣医師会など)が運営している民間の保護シェルターや、ボランティア活動に個人的に協力している一部の動物病院(世田谷区のヴァンケット動物病院や町田市ののづた動物病院など)に個人的な責任においてコンタクトをとる必要があります。

ただし、これらの施設も無限にキャパシティがあるわけではないため、事前の受け入れ状況や搬送手段の確認が必須となります。また、一部の動物病院では「野生鳥獣救護ドクター」としてのボランティア治療を受け付けている場合がありますが、受診にかかる交通費や場合によっては処置費用が自己負担となることもあります。正確な情報は、お住まいの自治体の鳥獣保護担当課の公式サイト等をご確認ください。

足環がある迷い鳩の一時保護と給水給餌手順

「動かない鳩」を目の前にして冷静に観察すべきポイントの筆頭が、そのハトの足元に金属製、もしくは赤や青などのプラスチック製の「足環(リング)」が装着されていないかという点です。もし片足、あるいは両足にしっかりと番号や記号が刻印された足環がついている場合、それは野生の鳩(ドバト)ではなく、愛好家によって自宅の鳩舎で飼育され、厳しい長距離レースの訓練や血統管理が行われている最中に何らかの理由で群れから逸れて遭難してしまった「レース鳩(迷い鳩)」「伝書鳩」です。

この迷い鳩については、野生動物としての法解釈ではなく、民法上の「遺失物(落とし物)」に分類されるため、発見・保護した場合は飼い主(所有者)へ連絡し、速やかに引き渡す法的な返還義務と手続きが発生します。レース用の鳩は数千円から、場合によっては血統書付きで数百万円という極めて高い金銭的価値や愛好家の思い入れがある財産です。発見した際は、まず足環に印字されている記号をスマホのカメラなどで鮮明に記録してください。

足環の所属団体特定ガイド

  • 「JPN」というアルファベットから始まる足環:これは一般社団法人日本鳩レース協会が登録・管理している加盟員のレース鳩です。
  • 「NIPPON」というアルファベットから始まる足環:これは一般社団法人日本伝書鳩協会が管理している伝書鳩です。
  • 個人情報(電話番号や携帯番号)が直接書かれているケース:協会を通さず、記載されている連絡先へ直接ダイヤルして「迷い鳩を保護している」旨を伝えてください。

(参照:一般社団法人 日本鳩レース協会 公式サイト

迷い鳩の多くは、雨の中での飛行や長距離のフライト、逆風などの過酷な天候にさらされ、極限の脱水症状や、ハンガーノック(極度のエネルギー枯渇)に陥ってベランダなどで力尽きています。幸い、彼らは人間から毎日給餌されて育っているため、野生のドバトよりもさらに人懐っこく、素手やバスタオルを使って比較的容易に包み込んで保護することができます。体力を回復させて自力帰巣を促すための具体的な救護プロトコルは以下の通りです。

  1. 遮光・静穏な隔離スペース:まずは空気穴(直径2cm程度)をいくつか開けた、ハトの体がすっぽり入るサイズの段ボール箱やキャリーケースを準備します。ハトは急激な周囲の変化や人間の視線に過剰なストレスを感じてショック死するリスクがあるため、段ボールの蓋を閉めて内部を暗くし、静かな部屋に隔離します。
  2. 脱水緩和のための給水(最重要):底の浅い小さなコップや皿に、常温の新鮮な水をたっぷりと入れて段ボールの隅に配置します。脱水症状さえ改善されれば、それだけで内臓機能が劇的に回復し、半日〜1日で羽ばたくエネルギーを取り戻すことができます。水の中にほんの少しだけスポーツドリンクや砂糖を混ぜて電解質・糖分を補給させるのも効果的です。
  3. 胃に優しい穀物給餌:エサとしては、生米、大豆、小豆、トウモロコシの砕いたもの、小麦、ヒエ、アワなどの雑穀(鳥用のミックスシードなど)が最適です。一般の人間が「鳥の好物」と誤解して与えがちな「加工パン」や「菓子パン」は、水分を吸収してハトの胃(砂嚢)の中で異常膨張を起こし、深刻な消化不良や命に関わる感染症(そのう炎など)を誘発するため絶対に適していません。
  4. 自力帰巣(放鳥)の可否判断:上記の給水・給餌を施した状態で1〜2日ほど静かに休ませ、段ボールの壁を叩いて元気よく羽ばたこうとしたり、箱の隙間から外を覗き込んで脱出しようとする力強い仕草が見られたら、体力が回復した証拠です。風の少ない晴れた日の午前中に、ベランダではなく、見晴らしのよい屋外の広い公園や河川敷などに連れていき、手の上にそっと乗せて大空へ放してください。帰巣本能により、自力で自分の鳩舎へと真っ直ぐ飛んで帰っていきます。

専用配送網による所有者への安全な返送システム

給水やエサやりを施して2〜3日が経過しても、段ボールの中でうずくまったままで自力で飛ぼうとする気配が全く見られない場合や、明らかに骨折や深手を負っていて野生復帰が不可能な状況の迷い鳩については、保護したままで永久に飼育し続けるわけにはいきません。その場合は、鳩の配送に関する専門的な輸送インフラを利用し、登録された所有者のもとへ実費等で送り届けるためのシステムを動かす必要があります。

日本国内には、迷い鳩の所有者をデータシステムから即座にマッチングし、特別な専用配送網で自宅まで回収・返送してくれる物流システムが確立されています。最も広く活用されているのが、日本通運が提供している「日通迷い鳩回収システム」(迷い鳩専用のフリーダイヤル:0120-182259)です。この専用窓口に連絡して足環の登録記号を伝えると、日本通運がシステムから所有者を特定し、配送を手配してくれます。

ドライバーが保護主の自宅までハト専用の「通気穴のあいた特別輸送段ボール箱」を持参して集荷に伺いますので、保護主は一切の梱包資材を準備する必要がありません。この運送サービスにかかる配送費用や手数料などは、基本的にハトの引き取りを希望する登録所有者(鳩レース協会等の会員)が負担する仕組みとなっており、発見した保護主側に不条理な金銭的負担がかからないよう最大限配慮されています。

また、日本伝書鳩協会の管轄個体であっても、近年では郵便局が取り扱う「ゆうパック」を利用した迷い鳩輸送サービスの利用指定日において、指定の手順を踏むことで同様に安全な返送手続きをサポートしてもらうことが可能です。

自力飛行が不可能なハトを抱えて途方に暮れることなく、これらの信頼できる輸送インフラに手続きを委託して、ハトと愛好家の双方を救うクリーンなバトンタッチを実現してください。詳細な輸送スケジュールや引き取りルールについては、各運送会社の相談ダイヤルや日本伝書鳩協会の公式サイト等で事前にご確認ください。

死骸を見つけた場合の安全な自己回収と消毒手順

ベランダでじっと動かないハトをよく観察した結果、すでに体がカチカチに硬直してしまっていたり、虫が湧いているなど、明らかに事切れて死骸(遺骸)となっている場合は、一瞬たりとも素手で触れたり、不十分な装備で近寄ったりしてはいけません。野生のドバトの遺骸や、ベランダにこびりついている乾燥したフンには、人間に空気感染して命に関わる重篤な健康被害(アレルギーや多臓器不全など)を引き起こす凶悪な病原体が無数に潜むバイオハザード状態です。

特に恐ろしいのが、鳩の糞尿から培地となって爆発的に増殖するクリプトコックス症(クリプトコックス真菌)です。このカビは乾燥に異常なほど強く、ハトが死んで数年が経過した古いカラカラの乾燥フンの内部であっても、胞子の状態で2年以上もしぶとく生き残り続けます。これを風やホウキの掃き掃除によって空気中に舞い上がらせ、肺から吸い込んでしまうと、肺真菌症や、最悪の場合は脳を包む髄膜に達して髄膜炎を引き起こし、意識障害や死に至ることがあります。

さらに、クラミジア細菌を吸入することで急激な高熱や肺炎を呈するオウム病のリスクもあります。糖尿病や肺疾患の持病がある方、高齢者、妊婦や小さなお子様がいる家庭では、絶対に無防備な処理を避けてください。

二次感染を完全に水際で防ぎ、自力で衛生的に死骸を回収・処分するための「最高密度のDIY安全処理プロトコル」は、以下のステップで行います。

  1. 防塵・接触防護:使い捨ての高品質マスク(できれば花粉用ではなく医療用のN95規格以上を強く推奨)、厚手の使い捨てゴム手袋(またはビニール手袋を2重に着用)、作業用ゴーグル(なければ眼鏡)を着用し、皮膚が露出しないよう長袖・長ズボンの衣服を着ます。直近のすべてのリビングの窓や換気扇、エアコンを完全に切り、空気の対流をストップさせます。
  2. フンと遺骸への湿潤処理(最重要):乾いたフンや死骸をホウキでサッと掃く行為は、ウイルスやカビの胞子を自宅ベランダの空気中に撒き散らす「自殺行為」です。必ず、次亜塩素酸水スプレー、消毒用エタノール、または水で希釈した家庭用漂白剤などを、霧吹き等を使って死骸とその周辺の固着したフンに静かに吹きかけます。ビショビショに湿らせることで、胞子が空気中に舞い上がるのを物理的に完封します。さらにその上にキッチンペーパーや古い新聞紙を数枚覆い被せ、水分と除菌剤を十分に浸透させてふやかします。
  3. 静かなる密閉ダブルバッグ:湿ってペースト状に柔らかくなった死骸とフンを、覆い被せた新聞紙ごと両手で優しく、静かに包み込むようにして拾い上げます。そのまま、事前に準備しておいた厚手の可燃ゴミ用のポリ袋に空気を優しく抜きながら滑り込ませます。作業中に使用したゴム手袋や、使い古したマスク、ペーパー類も、裏返しにしながらすべて同じゴミ袋に統合してください。
  4. 跡地の化学的除菌洗浄:死骸が置かれていたベランダのコンクリート床や室外機の上に対し、真菌や細菌、各種芽胞をも短時間で完全に不活性化させることができる二酸化塩素製剤や、次亜塩素酸ナトリウム、高濃度エタノールを大量に吹きかけ、しばらく置いてから使い捨てペーパー等できれいに拭き取ります。
  5. 自身の除菌フィニッシュ:全てのゴミを袋に詰め終えたら、袋の口を何重にも固く縛って即座に指定のゴミ置き場へ処分します。その後、洗面所へ直行し、殺菌薬用石鹸を用いた徹底的な手洗い(爪の間から手首まで)、うがいをしっかりと行い、着用していた衣服は即座に洗濯機に入れて洗濯を行ってください。

もし、公共の場所や路上などで鳩の死骸を発見した場合は、自力で無理をして回収する必要はありません。例えば杉並区内での発見であれば、以下の表のように場所に応じた専用窓口へ電話で連絡すれば、行政が迅速に死骸の回収・消毒作業に駆けつけてくれます。

発見した場所担当行政機関回収・処理に関する対応ルール
杉並区立の公園内杉並区役所 みどり公園課公園内の散策路や芝生に放置された死骸を、無料で回収・現地消毒します。
東京都立の公園内善福寺川緑地サービスセンター都立公園(善福寺川緑地や和田堀公園等)の管理敷地内で迅速対応。
都道上(公道)東京都第三建設事務所都道の走行車線や歩道に横たわる死骸の撤去・清掃を実施。
国道上(公道)東京国道事務所 代々木出張所国道の走行車線上や路肩の障害・動物死骸除去を安全確保のために巡回回収。
民有地(自宅ベランダ等)杉並清掃事務所自宅の私有地やベランダ内で回収が心理的に困難な場合、ゴミ分別ルールに基づき引き取り相談を受付(詳細要確認)。

(参照:杉並区公式ホームページ「犬・猫などの死体処理」

問題が長期化して鳩が動かない場合の業者相談

自力であらゆる対策(CDを吊るす、プラスチック製スパイクを置く、市販の忌避スプレーを吹きかける等)を講じてみたものの、強い帰巣本能に支配された鳩がベランダの手すりや室外機の奥から一向に立ち退こうとしない場合、あるいはすでにエアコン室外機の裏や太陽光パネルの下の狭小な隙間に「営巣」を完了され、中に卵やヒナが産み落とされてしまっている場合、個人が自力で法的にクリアな対策を完結させることは、技術的・物理的、そして法律的(鳥獣保護管理法)にほぼ不可能なデッドロック状態に直面します。

このような深刻な段階に陥った際には、傷病の放置や法的な自己解決リスクを冒すのではなく、有害鳥獣対策のプロフェッショナルであるペストコントロール協会加盟の優良専門業者に直接相談・駆除施工を依頼することが、最も安全かつ結果的にコストパフォーマンスに優れた、極めて賢明な問題解決への第一歩となります。専門業者は、都道府県知事等から正式な「有害鳥獣捕獲許可」を取得した上で、卵やヒナを傷つけることなく安全に保護・搬出するノウハウを完璧に有しています。

また、高所での作業を伴う頑丈な防鳥ネットのたるみのない完璧な設置や、一般の方では立ち入れないような狭小スペースにこびりついた何キログラムものこびりついた固着フンの、高圧洗浄機と業務用の強力な病原体除菌剤(二酸化塩素など)を用いた無菌化クレンジング作業までを一網打尽に行ってくれます。

死骸の腐敗が激しく悪臭(死臭)が立ち込めている過酷なベランダの現状復帰や、害獣に群がる害虫(ハエやダニなど)の徹底的な殺虫処理も、プロの特殊清掃技術であれば瞬時に解決が可能です。少しでも「自分では触りたくない」「法律に違反するのが怖い」「高所作業でベランダから転落する危険がある」と感じた場合は、ご自身の健康を守り、マンション等の資産価値を維持するためにも、すぐに専門業者へ現地見積もりを相談してください。

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この記事を書いた人

名前(愛称): クジョー博士
本名(設定): 九条 まどか(くじょう まどか)

年齢: 永遠の39歳(※本人談)
職業: 害虫・害獣・害鳥対策の専門家/駆除研究所所長
肩書き:「退治の伝道師」

出身地:日本のどこかの山あい(虫と共に育つ)

経歴:昆虫学・動物生態学を学び、野外調査に20年以上従事
世界中の害虫・害獣の被害と対策法を研究
現在は「虫退治、はじめました。」の管理人として情報発信中

性格:知識豊富で冷静沈着
でもちょっと天然ボケな一面もあり、読者のコメントにめっちゃ喜ぶ
虫にも情がわくタイプだけど、必要な時はビシッと退治

口ぐせ:「彼らにも彼らの事情があるけど、こっちの生活も大事よね」
「退治は愛、でも徹底」

趣味:虫めがね集め

風呂上がりの虫チェック(職業病)

愛用グッズ:特注のマルチ退治ベルト(スプレー、忌避剤、ペンライト内蔵)

ペットのヤモリ「ヤモ太」

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