イタチはなつくのかと疑問に思っている人は多いようです。
野生のイタチが人に慣れるのか、飼えるのか、危険はないのかが気になるはずです。
この記事では、まずイタチの性格と日本に生息するイタチの実態を整理し、イタチはどこにいるのか、イタチは何を食べるのかを踏まえて、被害をもたらすイタチの種類と向き合い方をまとめます。
野外での遭遇時や家屋被害への対処、家庭で人気のフェレットとの違いまで、実用的に理解できる構成です。
この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。
- 野生のイタチが人になつきにくい理由と行動特性を理解できる
- 日本に生息する主要種と見かけやすい場所や季節がわかる
- 家屋被害や衛生リスクへの基本対処と連絡先の考え方がわかる
- フェレットとの違いと飼育の可否を明確にできる
イタチがなつくのは本当かを徹底検証
- イタチの性格
- 日本に生息するイタチ
- イタチはどこにいる?
- イタチは何を食べる?
- 被害をもたらすイタチの種類
イタチの性格

細長い体形としなやかな筋肉を備え、狭い隙間を通過できる柔軟性と、跳躍・木登り・泳ぎに長けた運動能力を持ちます。単独行動が基本で縄張り意識が強く、同種間ではにおい付けや威嚇行動で境界を示します。
威嚇時には甲高い短い鳴き声を連続して発し、肛門腺から強い臭気の分泌物を噴出して敵を退けます。
ため糞と呼ばれる排泄行動で、同一地点に糞を重ねる習性もよく見られ、縄張りの標識や情報伝達として機能しています。
警戒心が非常に強く、見通しの悪い場所では退路を確保しながら静かに後退し、逃げ道を塞がれたと判断すると咬みつく、防御のために飛びかかるなどの反応に転じます。
子育て期のメスは特に敏感で、人やペットが巣に近づくと攻撃性が高まります。野生個体は人との接触で強いストレスを受けやすく、家庭環境で人になつく可能性はきわめて低いと考えられます。
屋外で遭遇した場合は視線を合わせて追い立てず、距離を取り、退路をふさがないことが安全対応の基本です。
日本に生息するイタチ

国内で日常的に目にする機会が多いのは在来のニホンイタチと、外来のシベリアイタチです。
ニホンイタチは本州・四国・九州を中心に自然分布し、河川や水田周辺など水辺環境を好みます。
体色は黄褐色から茶褐色で、尾は体長に対して比較的短めです。
一方のシベリアイタチは大陸由来の外来種で、山吹色~明るい褐色の体色と、顔の中央から鼻にかけた濃い斑紋が目立ちます。
尾は体長に対して長く、市街地や農地縁辺部にも積極的に進出します。西日本の都市圏ではシベリアイタチの定着が進み、地域によってはニホンイタチが局所的に後退している事例が自治体の調査報告で整理されています。
このほか、寒冷地ではイイズナやオコジョ類、外来のアメリカミンクなど、同じイタチ科でも生息環境や行動様式が異なる種がいます。
種の見分けは体色、尾の長さの比率、顔の斑紋などが手掛かりになりますが、個体差や換毛期の色変化もあるため、写真などの記録と複数の特徴を組み合わせて識別するのが確実です。
イタチはどこにいる?

行動圏は餌が得やすく隠れ場所が多い帯状の環境に沿って広がります。
河川敷や用水路沿いの草地、林縁、耕作地の畦、緑地と住宅地の境界など、いわゆるエッジに相当する場所を好んで移動します。
夜行性の傾向が強いものの、薄明薄暮に活動が重なる個体も珍しくありません。繁殖期や子育て期には行動半径が広がり、ねぐらの選択肢も増えます。
都市近郊では、屋根裏や軒下、床下、倉庫の隙間、擁壁の穴、河川護岸の空洞などをねぐらに使います。
通気口や配管の貫通部、劣化した基礎の隙間、雨樋の取り合いなど、数センチの開口でも侵入経路になりえます。天井裏の物音や強い獣臭、ため糞跡が複数箇所で見つかるときは、出入りが継続しているサインです。
屋外で遭遇した際は、追跡や撮影のために接近すると逃走方向を塞ぎやすく事故の原因になります。
餌付けは学習による定着を招き、人と野生動物の距離を不自然に縮めるため避けてください。
住宅での侵入予防は、出入り口になり得る開口の封鎖、植栽の整理、屋外の餌資源(ペットフード・生ごみ・落果)の管理をセットで進めるのが有効です。
イタチは何を食べる?

食性は肉食寄りの雑食です。主に小型哺乳類(ネズミ類)、鳥類と卵、両生類や爬虫類、魚類や甲殻類、昆虫を捕食し、季節によって木の実や果実も取り入れます。
水辺の個体群ではザリガニやカエルの比率が高く、農地周辺ではほ場のネズミやカエル、バッタ類を効率的に利用します。
都市環境では、人の出す生ごみ、飼育中の家禽や観賞魚、屋外に置いたペットフードなど、手に入りやすい餌を学習して狙う行動が定着しやすくなります。
こうした餌資源の集中は人の生活圏への接近と居着きを強め、家屋侵入、糞尿による悪臭、ため糞地点での衛生悪化といった被害につながります。
被害予防には、回収日前夜に生ごみを屋外に出さない、動物が倒せない蓋付き容器で保管する、屋外給餌をやめる(もしくは食べ残しを直後に回収する)、鶏小屋やケージの開口部を小さく丈夫な金網で補強する、といった管理の徹底が効果的です。
被害をもたらすイタチの種類

各地で被害の主因となることが多いのは、在来のニホンイタチと外来のシベリアイタチです。
両者はよく似ていますが、市街地適応や体の比率に差があり、対策の設計にも影響します。下表は識別と生態の要点を簡潔に整理したものです。
比較項目 | ニホンイタチ | シベリアイタチ |
---|---|---|
体色の傾向 | 黄褐色~茶褐色、顔の中央の斑は目立ちにくい | 山吹色~明るい褐色、額~鼻に濃い斑紋 |
体の比率 | 尾は体長に対してやや短い(尾率がおおむね4割台) | 尾が長く見える(尾率が5割以上になりやすい) |
体サイズの目安 | オスの体長はおおむね30~40cm、メスは20~30cm | オス28~39cm・尾16~21cm、メス25~31cm・尾13~16cm |
分布の傾向(日本) | 本州・四国・九州に広く自然分布 | 西日本の市街地・農村で定着が拡大 |
市街地への適応 | あり(ただし水辺志向が強い) | 高い(住宅地のねぐら・採餌が顕著) |
シベリアイタチの国内侵入・分布拡大、形態的特徴や食性の傾向については、公的研究機関の整理が公開されています。(出典:国立環境研究所 侵入生物データベース「チョウセンイタチ」 )
被害としては、屋根裏や床下での営巣による騒音・悪臭、ため糞地点の衛生リスク、家禽・観賞魚・小動物への捕食、農作物や貯蔵穀物の食害などが典型です。
対処は、侵入経路の特定と封鎖、餌資源の管理、ねぐら化した空間の衛生回復を同時に進めることが柱になります。
なお、野生鳥獣の捕獲は各自治体の許認可制度の対象であり、無許可での捕獲や傷つける行為は法律違反になり得ます。被害が継続する場合は、自治体窓口や専門業者への相談を検討してください。
イタチはなつく?安全な向き合い方
イタチは飼える?
イタチとフェレットの違い
法律と鳥獣保護管理法の基礎
接触時のリスクと安全対処
イタチは飼える?

野生のイタチを家庭で飼うことは、原則として現実的ではありません。
まず、野生鳥獣の捕獲は許可なく行えず、被害対策や狩猟の枠組みでも所定の手続きや資格が必要です。自治体の案内でも、許可を得ない野生鳥獣の捕獲は禁止と明記されています。
また、野生個体は人に慣れにくく、強い咬傷リスクや衛生問題を伴います。いわゆる懐かせる目的での接触や餌付けは、攻撃・侵入・繁殖の誘発につながりかねません。
家庭でイタチ科の動物を迎えたい場合は、長年人と暮らすために改良されたフェレットを検討するのが現実的です(次章参照)。
イタチとフェレットの違い

フェレットはヨーロッパケナガイタチなどを祖先とする家畜化系統で、人と生活する前提で改良されてきました。
一方、ニホンイタチやシベリアイタチは完全な野生動物です。性格・法的位置づけ・飼育可否は次の通り整理できます。
項目 | イタチ(ニホン/シベリア等) | フェレット(ペット) |
---|---|---|
分類 | イタチ科イタチ属の野生種 | イタチ科イタチ属の家畜化系統 |
性格傾向 | 警戒心が強く攻撃的 | 人への社会化が進み比較的温和 |
飼育可否 | 許可なく捕獲・飼養不可が前提 | 一般に流通し飼育可能(自治体の規定に従う) |
法規 | 鳥獣保護管理法の対象 | 特定外来生物の指定対象から除外とされる家畜化系統 |
体のサイズ目安 | 体長約25〜40cm前後(種・性差で変動) | 体長約30〜50cm前後(系統差あり) |
分布 | 日本各地(地域差あり) | 野生分布は基本的に想定しない |
特に法令面では、外来生物法の特定外来生物リストで、フェレットとチョウセンイタチ(シベリアイタチ)は除外として明記されています。
これは「飼える」ことを保証する免罪符ではありませんが、フェレット自体が指定規制の対象外である点は制度上の大きな違いです。環境省
法律と鳥獣保護管理法の基礎

野生イタチに関わる基本は次の三点です。
捕獲は原則許可制
野生鳥獣の捕獲は原則禁止で、狩猟や有害捕獲などの例外も、自治体の許可や資格が前提です。無許可捕獲は処罰の対象になり得ます。住まいの自治体の担当課に相談し、自己対応を試みないことが安全・適法の近道です。
外来生物法との関係
特定外来生物の指定は種ごとに異なります。イタチ属全体を機械的に規制しているわけではなく、環境省資料ではチョウセンイタチやフェレットが除外として整理されています。
地域ごとに外来生物対策の運用も異なるため、捕獲や飼養の是非は自治体の最新情報を確認してください。環境省
相談先と実務
家屋侵入や農作物被害が疑われる場合は、まず自治体の環境・鳥獣担当窓口に連絡し、状況把握と手順を確認します。
事業者に依頼する場合も、許可や法令に則った施工を行う会社を選びましょう。被害箇所の封鎖・清掃・消毒・再侵入防止まで一連で実施できる体制が再発防止の鍵となります。
接触時のリスクと安全対処

野生動物はダニ・ノミなどの寄生虫や細菌・ウイルスを媒介する可能性があります。
自治体の衛生情報でも、野生動物に近づかない・触らないことが強く呼びかけられています。イタチを見かけても追い払わず、その場を離れる行動が基本です。
万が一、噛まれたり引っかかれたりした場合は、すぐに流水で十分に洗い、可能なら石けんで洗浄し、清潔なガーゼ等で圧迫止血して医療機関を受診してください。
自治体や医療機関の案内でも、受傷当日の受診が推奨されています。破傷風予防や感染リスク評価を含む診療を受けるのが安全です。
家庭での衛生管理としては、ため糞の疑いがある場所の掃除はマスクと手袋を着用し、換気したうえで行います。
屋外の生ごみ管理、ペットフードの屋外放置を避ける、床下や屋根裏への隙間を金網やパテで塞ぐといった物理的対策が、被害の未然防止に有効です。
イタチがなつくは本当?野生のイタチとフェレットを徹底比較:まとめ
この記事のまとめです。
- 野生のイタチは警戒心が強く人になつきにくい
- 日本ではニホンイタチとシベリアイタチが身近
- 目撃は水辺や緑地と住宅地の境界で起こりやすい
- 食性は肉食寄りの雑食で生ごみ等も狙いやすい
- 都市部ではシベリアイタチの分布拡大が課題
- 無許可の捕獲は原則禁止で自治体相談が出発点
- 外来生物法ではフェレットとチョウセン除外整理
- 家屋侵入は封鎖と清掃消毒と再侵入防止が要点
- 噛傷や引っかき傷は洗浄と早期受診が推奨
- 野生動物は触らない近づかない餌付けしないが基本
- ペットとして迎えるなら家畜化のフェレットが現実的
- フェレットは性格や法的位置づけが野生と大きく異なる
- 生ごみ管理と屋外餌の放置防止で誘引を減らせる
- 隙間の封鎖や柵設置など物理対策が再発抑止に有効
- イタチはなつくより安全距離の確保が最優先となる
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