シロアリは静かに住宅を侵食する害虫として知られており、気づいたときには深刻な被害につながることもあります。その対策として「電気を消す」ことが有効だという話を耳にした方も多いのではないでしょうか。
本記事では、シロアリの習性と光の関係に着目しながら、明かりに集まるシロアリの種類や、電気のオンオフで変わるシロアリの行動について詳しく解説していきます。
また、実際に電気を消すことで得られるメリットと、その限界についても触れ、電気を消すだけでは不十分な理由についても整理します。
これから羽アリの群飛シーズンを迎えるにあたって、住宅を守るための基礎知識として、ぜひ押さえておきたいポイントをわかりやすくお伝えします。
この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。
- シロアリが光に集まる習性とその理由
- 電気を消すことで羽アリの侵入リスクを減らせること
- 明かりに反応するシロアリの種類と違い
- 電気を消すだけではシロアリ対策として不十分なこと
シロアリ 電気消すと駆除に効果ある?
シロアリの習性と光の関係
電気を消すことで得られるメリット
明かりに集まるシロアリの種類
電気のオンオフで変わるシロアリ行動
電気を消すだけでは不十分な理由
シロアリの習性と光の関係

シロアリは基本的に暗所を好む昆虫であり、光のある場所に出てくることは本来あまりありません。ただし、繁殖期になると特定の種類のシロアリは「羽アリ」となって外に飛び出し、光に向かって移動する傾向があります。この行動は、いわゆる「走光性」と呼ばれ、特に人工の光、つまり照明や街灯に引き寄せられやすいとされています。
例えば、ヤマトシロアリやイエシロアリは、春から初夏にかけての湿気が多い時期に群飛(ぐんぴ)と呼ばれる行動を取り、夜間の明かりに集まることが知られています。これにより、屋内の明かりを目指して家の周囲に飛来し、結果的に家の隙間などから侵入するリスクが高まります。
こうした背景から、光とシロアリの行動には一定の関係があることがわかります。特に繁殖期の夜間に照明をつけっぱなしにすることは、不要なシロアリの侵入を招く可能性を高めるため、注意が必要です。
電気を消すことで得られるメリット

室内や屋外の照明を必要のない時間帯に消すことは、シロアリの飛来をある程度防ぐ手段として有効です。とくに羽アリが飛び立つ夕方から夜間にかけて、明かりを控えることで、シロアリが寄ってくるリスクを下げることができます。
これは、照明をつけることでシロアリを誘引してしまう恐れがあるからです。室内の光が窓や網戸を通して外に漏れると、それを目印に羽アリが集合し、家の隙間や通気口から侵入してしまう可能性があります。したがって、夜間に不用意に照明を使い続けることは、住宅をシロアリの標的にしてしまうリスクを伴います。
また、電気代の節約や虫全般の侵入を防ぐという副次的な効果も得られます。これらの理由から、羽アリの活動が活発な時期には、屋外の照明を抑えたり、カーテンを閉めて光を外に漏らさないようにするなどの工夫が有効です。
明かりに集まるシロアリの種類

シロアリと一口に言っても、その種類によって行動特性が異なります。明かりに集まる傾向が強いのは主に羽アリの状態になったときであり、中でもヤマトシロアリとイエシロアリは顕著です。これらのシロアリは、繁殖期になると大量の羽アリとなって巣から飛び出し、パートナーを探すために光を目印に飛来します。
一方で、他の種類のシロアリ、例えばアメリカカンザイシロアリなどは、比較的乾燥した木材内部で静かに活動する傾向があり、光に対してそれほど強い反応を示しません。このため、すべてのシロアリが光に集まるわけではなく、明かりへの反応には種類ごとの差異があることを知っておく必要があります。
このような違いを理解することは、適切な対策を講じる上で非常に重要です。明かりを消すことによって影響を受けるシロアリの種類を知っていれば、その対処もより的確になります。
電気のオンオフで変わるシロアリ行動

照明のオンオフによって、シロアリ、とくに羽アリの行動は顕著に変化します。明かりをつけると、光に誘引されて家の周囲に羽アリが集まることがあり、これが建物内への侵入につながる場合があります。逆に、電気を消しておくと、光に引き寄せられることがなくなるため、結果として家屋への接近を減らすことが可能です。
こうした行動の変化は、特に群飛シーズンに顕著で、照明の有無によって家の周囲の羽アリの数に明確な差が出ることがあります。屋外照明が強いほどシロアリを誘引する可能性が高くなるため、LEDライトなど虫が寄りにくい照明に変更することも一つの対策です。
このように、照明のオンオフというシンプルな行動でも、シロアリ対策としては一定の効果を持つため、シーズン中は特に意識的に管理することが求められます。
電気を消すだけでは不十分な理由

シロアリ対策において、電気を消すことはあくまで一つの予防策にすぎません。たしかに光によって羽アリを誘引するリスクは軽減できますが、シロアリはそれ以外の経路からも住宅に侵入します。例えば、地中を経由して基礎部分から侵入するケースや、建物に接触している木材などから上がってくる場合もあります。
このため、照明を消したからといって完全にシロアリを防げるわけではありません。実際、光に集まるのは繁殖のために飛び出した羽アリのみであり、それ以外のシロアリは暗所で静かに活動を続けているのが現実です。
防除対策としては、床下の点検、湿気対策、木部処理、そして専門業者による定期的な調査など、複数の方法を組み合わせることが効果的です。電気を消すことはその一環として取り入れられるべきですが、それだけに依存してしまうのは危険と言えます。
シロアリ 電気消す対策の正しい方法
電気を活用した防除方法とは
光源対策と併用すべき駆除方法
夜間の照明管理が与える影響
室内の明かりと外灯の違い
環境に優しいシロアリ対策とは
電気を活用した防除方法とは

電気を利用したシロアリ対策には、主に「誘引・捕獲型」の装置や、「電気ショック」を利用するものがあります。特に、屋外に設置する紫外線ランプ付きの捕獲装置は、羽アリの行動特性をうまく利用した方法です。これらの装置は、明かりに引き寄せられて飛来した羽アリを、粘着シートや電撃によって捕獲・駆除するしくみになっています。
このような電気機器は、化学薬剤を使わずにシロアリを減らすことができる点で、ペットや小さな子どもがいる家庭でも安心して導入できるのが特徴です。特に、毎年同じ時期に羽アリが発生することが分かっている場合には、その期間中だけ使用するという使い方もできます。
ただし、こうした装置の効果は主に羽アリの侵入防止にとどまり、既に家屋内部にいるシロアリには影響がありません。このため、被害の有無に応じて、より総合的な対策を検討することが重要です。
光源対策と併用すべき駆除方法

光源によるシロアリ対策は予防的な意味で有効ですが、それだけでは根本的な解決にはなりません。そこで重要になるのが、物理的および化学的な駆除方法との併用です。例えば、家屋の基礎や床下に薬剤を散布する「バリア工法」や、シロアリの巣に毒餌を設置する「ベイト工法」は、光源対策と並行して行うべき基本的な対処法です。
また、住宅の構造的な見直しも効果的です。たとえば、木材と地面が直接接している部分を見直し、通気性を高めて湿気を防ぐことで、シロアリの住みにくい環境をつくることができます。こうした物理的工夫は、明かりに集まる羽アリだけでなく、光に関係なく侵入する地下性シロアリにも対応できます。
つまり、光源対策はあくまで「入口を減らす」手段であり、「内部の駆除」や「発生源の撲滅」とは別に考える必要があります。専門業者による点検とアドバイスを受けながら、段階的かつ総合的に対策を進めることが求められます。
夜間の照明管理が与える影響

夜間の照明がシロアリ、特に羽アリに与える影響は非常に大きいとされています。羽アリは光に誘引される性質を持っているため、夜間に強い光を家の周囲や窓際に点灯させていると、羽アリが集まりやすくなります。特に、羽アリの群飛が活発になる夕方から夜にかけての時間帯には、照明の使い方を見直すことが重要です。
屋外の照明だけでなく、カーテンやブラインドの使い方も見逃せません。窓から室内の光が漏れると、そこに羽アリが引き寄せられ、窓の隙間や網戸の小さな破れから侵入されるリスクが高まります。このため、夜間はできるだけ窓際の照明を抑えたり、遮光性の高いカーテンを使用することが有効です。
さらに、照明器具そのものを見直す方法もあります。LED照明は従来の蛍光灯や白熱灯に比べて虫が集まりにくい特性を持っており、照明の種類を切り替えるだけでも虫の飛来数を減らすことが可能です。
室内の明かりと外灯の違い

シロアリの飛来に対する影響という点で、室内の明かりと外灯では役割が異なります。まず、外灯は建物の外周に直接光を届けるため、羽アリが集まりやすくなる第一の原因になります。家の周囲に外灯があると、それを目印にシロアリが飛来し、近くの木材や基礎部分を探ってくるケースが多く見られます。
一方、室内の照明は直接的な影響こそ少ないものの、夜間に窓から光が漏れることで間接的な誘引要素となり得ます。特に、網戸の隙間や目の粗いカーテンを通じて光が外に出ている場合、羽アリがその光を感知して接近しやすくなるため注意が必要です。
これらの違いを踏まえると、外灯の配置や点灯時間を見直すとともに、室内からの光漏れを防ぐ工夫を施すことで、シロアリの飛来を効果的に減らすことができます。つまり、照明は「どこで」「どのように」使うかが重要であり、その使い方次第で住宅の安全性が左右されると言えるでしょう。
環境に優しいシロアリ対策とは

現代の住宅管理においては、効果だけでなく環境への配慮も重要な視点です。シロアリ対策においても、できるだけ自然環境に悪影響を与えない方法を選ぶことが求められています。そこで注目されているのが、化学薬剤を使わない「物理的防除」や「天然由来の成分を用いた対策」です。
例えば、ヒノキやヒバといった天然木材にはシロアリを寄せつけにくい成分が含まれており、これらを構造材や床下材に用いることで、化学物質を使わずにシロアリの被害を防ぐことが可能です。また、ホウ酸処理といった比較的環境負荷の低い薬剤も普及しており、持続性のある防虫効果が期待されています。
さらに、自然の生態系を壊さないという意味では、シロアリ捕獲装置や太陽光を利用した忌避装置など、エネルギー効率の良い製品を選ぶことも大切です。家庭で簡単に導入できるものも多く、環境への配慮と実用性を両立できる手段として注目されています。
このように、環境に優しいシロアリ対策は、持続可能な住宅管理の一環として取り入れる価値があります。将来を見据えた住まいの安全対策として、積極的に検討する姿勢が求められます。
シロアリ 電気消す対策の重要ポイントまとめ
この記事のまとめです。
- シロアリは基本的に暗所を好む性質がある
- 羽アリは繁殖期に光に引き寄せられる走光性を示す
- ヤマトシロアリやイエシロアリは光に反応しやすい
- 電気を消すことで羽アリの飛来リスクを軽減できる
- 屋外照明は羽アリを引き寄せやすいため見直しが必要
- カーテンやブラインドで光漏れを防ぐことが有効
- LED照明は虫が寄りにくくシロアリ対策に向いている
- 光源を使った捕獲装置は薬剤を使わず安心して使える
- 捕獲装置は羽アリの活動時期だけ使うのが効果的
- 室内の明かりも光漏れでシロアリを誘引する可能性がある
- 電気を消すだけでは地中や構造部分からの侵入は防げない
- バリア工法やベイト工法との併用が必要である
- 環境に優しい木材やホウ酸処理も効果的な対策になる
- 夜間の照明管理がシロアリ対策に直結する
- 定期的な点検と多角的な対策の併用が望ましい
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