シロアリ駆除しないとどうなる?放置のリスクとプロが教える対処法

地震により傾くシロアリ被害を受けた木造住宅の土台と柱。

マイホームの床下や柱周辺でシロアリの気配を感じつつも、費用の心配や手間の多さから対策を後回しにしていませんか。

住まいの主要な部材を密かに蝕む被害は、時間が経つほど静かに、そして確実に進行していきます。

シロアリ駆除しないとどうなるのか不安を抱える方向けに、被害を放置することで発生する建物構造への深刻なダメージや莫大な修繕費用、不動産価値の下落リスクについて詳しく解説します。

大切な資産と家族の安全な暮らしを守るため、正しい知識と具体的な対処法を一緒に見ていきましょう。

この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。

  • シロアリ被害の放置が引き起こす建物構造や耐震性への深刻な影響
  • 修繕費用や火災保険適用外の事実と不動産資産価値へのリスク
  • セルフチェックの方法と誤った市販殺虫剤使用の危険性
  • 工法別の費用相場や賃貸・分譲の負担関係と確定申告の雑損控除
目次

シロアリ駆除をしないとどうなる?放置のリスク

住宅におけるシロアリ被害の放置は、単なる表面的な建物の老朽化にとどまりません。

住まいの構造的安全性を根底から脅かし、家族の命や財産に及ぶ甚大なリスクを内包しています。

ここでは、シロアリ駆除を放置することで直面する5つの具体的リスクを解説します。

地震で家が全壊?耐震性能低下の恐怖

シロアリは木材の主成分であるセルロースを好んで摂取するため、床下や柱、土台、梁、根太といった建物の骨組みとなる構造耐力上重要な木材内部を食害します。

表面上は健全に見える木材であっても、内部が網目状や空洞状に食い荒らされているケースが非常に多く、建物の耐震性能や耐久性は目に見えないスピードで急激に低下していきます。

日本のような地震多発国において、シロアリ被害による木材強度の低下が震災時の建物倒壊リスクに直結することは、過去の膨大な被害統計や専門機関の研究によって客観的に証明されています。

【震災時におけるシロアリ被害宅の倒壊データ】
1995年の阪神・淡路大震災における詳細な現地調査によると、シロアリ被害や木材の腐朽が認められなかった住宅の全壊率が約2割から3割程度にとどまったのに対し、シロアリ被害や腐朽が存在していた住宅の全壊・半壊率は約9割以上に達したことが報告されています。統計分析においても、地震被害とシロアリ被害の有無には相関係数0.62という強い正の相関が認められています。

さらに、2016年の熊本地震や2024年の能登半島地震における被害分析においても、最新の耐震基準を満たしていた住宅であっても、土台や柱の接合強度がシロアリ被害によって脆化していたことで、一気に倒壊へ至った事例が複数確認されています。

耐震補強工事を行っていても、内部の木材が蝕まれていては本来の強度を発揮できません。

修繕費が最大1000万に?火災保険は適用外

経済的な観点においても、シロアリ被害の放置は破滅的なコスト増大を招きます。

被害が発生していない段階での予防施工や、早期発見時の駆除費用であれば、一般的な戸建て住宅(30坪程度)で約10万円から30万円前後の予算内に収まることがほとんどです。

しかし、長期間放置して柱の交換、土台の付け替え、基礎補強、大規模リフォームが必要となった場合、修繕費用は100万円から1,000万円を超える莫大な金額へと跳ね上がります。

【火災保険が適用されない理由】
火災保険や住宅総合保険は「突発的かつ偶発的な事故や災害」による損害を補償対象としています。数ヶ月から数年かけて徐々に進行するシロアリ被害は「経年劣化」や「自然損耗」とみなされ、原則として保険金給付の対象外となります。正確な保険適用範囲や契約条件については、ご自身の保険会社の約款や公式サイトをご確認ください。

資産価値が激減!売買時の告知義務とローン壁

将来的な不動産売却や資産保全においても、シロアリの放置は極めて重大な負の影響を及ぼします。

不動産売買取引において、過去のシロアリ被害歴や現在の被害状況は、売買契約時の重要事項説明や「物件状況報告書」への記載が必要な告知義務事項に該当します。

  • 資産評価の急落:構造耐力上の不安が残る物件は、市場査定で大幅な減額を余儀なくされます。
  • 売買の難航:買い手が見つかりにくくなり、大幅な値下げを行わなければ売却が困難になります。
  • 住宅ローン審査の壁:購入希望者が住宅ローンを申請する際、建物の担保評価が低く判定され、審査に通らないリスクが高まります。

カビやアレルギー・不快害虫を引き寄せる

シロアリの放置は、居住者の健康被害や住環境の衛生悪化、二次的な害虫問題を引き起こします。

シロアリは乾燥を嫌い、自ら水分や湿気を運搬・保持する習性を持つため、食害を受けている箇所周辺は常に高湿度な状態に保たれます。

この湿潤環境により、床下や壁体内部でカビが大量繁殖し、室内へ胞子が飛散することで喘息やアレルギー症状を引き起こす原因となります。

また、湿気を好むゴキブリやダニ、ムカデなどの不快害虫を呼び寄せる絶好の温床となってしまいます。

漏電火災や光熱費高騰を引き起こす二次被害

シロアリの加害対象は木材だけにとどまりません。

壁内に施工されている断熱材を穿孔・食害するため、住宅の断熱性能が著しく低下し、冷暖房効率が悪化して毎月の光熱費が増加します。

さらに深刻なのは、プラスチック配管や電気配線のビニール被覆材をかみ砕く事故です。

配線が露出することでショートや漏電を誘発し、最悪の場合は漏電火災を引き起こす危険性が指摘されています。

また、春から夏にかけて発生する群飛(ぐんぴ)の時期には、大量の羽アリが近隣住宅へ飛来・拡散するため、近隣住民とのトラブルに発展するケースも少なくありません。

シロアリ駆除をしないとどうなるかを防ぐ対処法

シロアリ被害による致命的な損害を防ぐためには、早期発見と適切な防除施工、そして正しい知識に基づいた迅速な対応が必要です。

ここからは、自分でできるセルフチェックからプロの工法、賃貸物件での法的関係、確定申告での節税対策まで、具体的な対処法を解説します。

早期発見のサイン!自分でできるチェック項目

シロアリ被害は床下や壁内といった目に見えない非破壊領域で進行するため発見が遅れがちですが、日常の観察で早期のサインを察知できます。まずは以下のセルフチェックを実施してみてください。

【シロアリ被害の5大セルフチェックサイン】

  • 羽アリや落ちた羽の散乱:春から初夏にかけて、室内に羽アリが出現したり窓際や床の隅に羽が大量に落ちている。
  • 基礎やコンクリートの「蟻道」:基礎の立ち上がりや土間に、土や糞を固めた茶色い筋状のトンネル(蟻道)がある。
  • 柱や敷居の「空洞音」:柱や和室の敷居を叩くと、ポコポコと軽い空洞音が響く。
  • 床の沈みや建具の不具合:歩くと床がブヨブヨ沈む、歩行時に異音がする、ドアや窓の開閉が重い。
  • クロアリの大量発生:屋内で黒アリが急増した(シロアリを捕食するために集まっている可能性)。

日本国内で住宅に被害を与える主要なシロアリは以下の3種類です。それぞれ生態や生息地域が異なります。

シロアリの種類ヤマトシロアリイエシロアリアメリカカンザイシロアリ
主な分布地域北海道の一部を除く全国千葉県以西の沿岸部、九州、沖縄全国の都市部に点在
水分・湿気の要否水分が不可欠(湿った場所)自ら水運搬可能(乾燥箇所も加害)水分不要(乾いた木材で生息)
蟻道(泥の道)基礎等に必須で形成大規模な蟻道を構築全く形成しない
被害の特徴床下、土台、1階の水回り建物全体、天井裏、加害速度が極めて速い2階以上の木材、家具、砂粒状のフンを排出
羽アリの発生時期4月〜5月の昼間6月〜7月の夕方〜夜間6月〜10月の昼間

また、室内で見かける羽アリが「シロアリ」なのか「クロアリ」なのかを見極めることも重要です。

識別部位シロアリの羽アリクロアリの羽アリ
胴体の形状くびれがない「寸胴型」胸部と腹部の間に明確な「くびれ」
羽の形状・サイズ前後の羽4枚がすべて同形・同サイズ前羽が大きく、後羽が小さい
触角の形状球がつながった直線状(数珠状)途中で折れ曲がった「くの字型」

危険な市販殺虫剤!DIY施工の致命的なリスク

羽アリやシロアリを見つけた際、市販のピレスロイド系殺虫スプレーを直接吹きかけたり、バルサンなどのくん煙剤を炊いたりしてご自身で駆除しようとする行為は極めて危険な誤用例です。

市販の殺虫剤には強烈な「忌避性(シロアリが嫌がって逃げる性質)」が含まれています。

スプレーを吹きかけた表面の個体は死滅しますが、生き残った膨大なコロニー群は危険を察知し、壁内や屋根裏、近隣の健全な部材へ一斉に避難・拡散します。

結果として巣の根絶に至らないばかりか、被害範囲を建物全体へ広げることとなり、専門業者による正確な調査や完全駆除を著しく困難にしてしまいます。

発見時は殺虫剤を噴射せず、掃除機で吸い取るか粘着テープで捕獲し、速やかに専門業者へ相談してください。

工法別の費用相場とプロの業者選びのポイント

シロアリ駆除の費用は、施工面積や採用する工法によって異なります。

一般住宅における全国平均相場は、1坪あたり約3,800円〜10,000円(1平方メートルあたり約1,150円〜3,000円)の範囲です。

30坪の戸建て住宅の場合、駆除費用単体では約10万円〜30万円前後が標準的な目安となります。

項目・工法バリア工法(散布・注入)ベイト工法(毒餌設置)ホウ酸工法(無機処理)
施工費用(30坪目安)10万円〜25万円20万円〜35万円(+管理料)15万円〜30万円
即効性非常に高い緩やか(数ヶ月〜半年)高い(食害時に効果)
効果持続期間正確に5年間1年〜5年(定期管理)水脱しない限り半永久的
こんな方におすすめ標準的な木造、コスパ重視床下に潜れない、薬品に敏感新築、安全性を最重視する家庭

【施工効果が「5年」で切れる理由】
昭和の時代に使用されていたクロルデン等の化学薬剤は10年以上の効果がありましたが、土壌汚染や健康被害の観点から使用禁止となりました。現在認可されている薬剤は人体や環境への安全性を最優先に開発されているため、施工後約5年が経過すると分解・揮発します。築5年以上の住宅や前回の施工から5年を過ぎた家は、目視の被害がなくても防蟻効果が失われている状態です。

信頼できる専門業者を選ぶ際は、「しろあり防除施工士」などの専門資格を保有しているか、明確な5年保証が付帯しているかを確認しましょう。

不安な場合は、無料現地調査に対応している大手紹介サービスを活用して複数社の見積もりを比較することをおすすめします。

【信頼できるプロのシロアリ駆除専門サービス】

※料金の最新情報や対応地域、無料見積もりの詳細は各公式サイトをご確認ください。

賃貸やマンションで被害が出た場合の費用負担

賃貸アパートや借家、分譲マンションでシロアリ被害が発生した場合、責任や費用負担の所在は法律および物件の所有権によって明確に分かれます。

物件形態被害発生箇所・事由費用負担者法的根拠・条件
賃貸アパート・借家通常の使用状態で発生した被害貸主(大家・オーナー)民法第606条第1項(賃貸人の修繕義務)
賃貸アパート・借家ダンボール放置、漏水放置、身勝手なDIY借主(入居者)民法第400条(善管注意義務違反)
分譲マンションエントランス、1階床下等の「共用部」マンション管理組合区分所有法(管理組合の維持管理責任)
分譲マンション住戸内の造作、家具等の「専有部」区分所有者(部屋所有者)区分所有法(専有部分の自己管理責任)

賃貸物件でシロアリを発見した場合は、自分で業者を呼ばず、すぐに状況写真や動画を撮影して大家・管理会社へ連絡してください。

契約書に「害虫駆除は借主負担」と書かれていても、建物の構造耐力に影響を与えるシロアリ修繕を一方的に借主に負わせる特約は、消費者契約法第10条により無効とされる可能性が高いです。

もし大家側が対応を拒否・無視する場合は、民法第608条に基づく「必要費償還請求権」や、民法第611条に基づく「賃料減額請求(使用不能割合に応じた20%〜30%前後の減額)」の法的手段を検討しましょう。

最終的な法的判断については弁護士等の専門家にご相談ください。

確定申告の雑損控除で修繕・駆除費用を安くする

持家でシロアリ被害に遭い、駆除や補修に多額の費用を支払った場合、確定申告で「雑損控除(ざっそんこうじょ)」を申請することで所得税や住民税の負担を軽減できます。

所得税法施行令第9条において、シロアリによる害虫被害は「異常な災害」として正式に認められています。

区分雑損控除の対象となる費用(◯)雑損控除の対象外となる費用(✕)
工事内容被害箇所の「直接駆除費用」被害がない場所の「予防散布費用」
修繕内容食害された柱や土台の「復旧補修費用」駆除と同時に行う「グレードアップ改装」
その他被害拡大を防ぐ「緊急応急措置費」DIYで購入した市販スプレー代金
対象資産自己または家族が住む「生活用住宅」賃貸用収益物件、店舗、投資用別荘

控除額は以下の2つの計算式のうち「金額が多い方」が適用されます。

  • 計算式①:(差引損失額) − (総所得金額等 × 10%)
  • 計算式②:(差引損失額のうち災害関連支出) − 5万円

【節税額の具体例シミュレーション】
総所得金額400万円の世帯で、駆除費用30万円+修繕費用70万円(計100万円支出、保険補額0円)の場合:
計算式②が適用され、100万円 − 5万円 = 95万円が所得から控除されます。
所得税率20%と仮定した場合、約19万円の所得税還付を受けられます。さらに翌年の住民税(税率約10%)も約9.5万円軽減されるため、合計で約28.5万円の実質的な負担軽減となります。

会社員の方でも年末調整では申請できないため、領収書や施工明細書、写真を準備してご自身で確定申告を行う必要があります。なお、確定申告の還付請求権は過去5年間さかのぼって申請が可能です。

シロアリ駆除をしないとどうなる?対策まとめ

シロアリ駆除をしないとどうなるか、そのリスクと対策について重要ポイントを改めて整理します。

  • 放置することで耐震性能が急激に低下し、大地震時の全壊リスクが大幅に跳ね上がる
  • 構造部の壊滅により修繕費が数百万〜千万円規模へ高騰し、火災保険は適用されない
  • 不動産売買での告知義務により資産評価が下落し、再販やローン審査が難航する
  • カビや不快害虫の発生、断熱材破壊による光熱費増大、漏電火災のリスクが生じる
  • 被害発生時は市販スプレーを使わず、5年保証に対応したプロの専門業者へ点検を依頼する
  • 駆除費用や補修費は確定申告の「雑損控除」を活用して実質負担を抑える

シロアリ被害の放置は「住まいの寿命」と「家族の safe な暮らし」を直撃する危険な選択です。薬剤の有効期限である5年を過ぎている場合や、わずかでも違和感を感じた場合は、被害が深刻化する前に信頼できる専門業者へ床下診断を依頼しましょう。

※本記事に掲載している費用や制度の概要は一般的な目安です。実際の被害状況や契約内容、税制の最新情報については、必ずプロの施工業者、保険会社、所轄の税務署などの専門家にご相談・ご確認ください。

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この記事を書いた人

九条 まどか(クジョー博士)
害虫・害獣対策の専門家/研究所所長


昆虫学・動物生態学の研究と現場調査歴20年以上!ネットの誤った撃退法や悪質業者からあなたを守るため、公的機関の正しい根拠に基づいた「安全な退治ノウハウ」をお届けします。



「退治は愛、でも徹底的に!」



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