お庭の芝生や畑の土壌が、まるで小さな火山が噴火したかのようにボコボコと盛り上がっていたり、不自然な落とし穴のような穴が開いていたりして、頭を抱えていませんか。地表を荒らす犯人がモグラであると分かっていても、彼らが土の暗闇の中でどれほどのスピードで活発に動いているのか、その実態が分からないと効果的な撃退プランを立てることは非常に困難です。
インターネット上の噂を見渡してみると、「モグラは時速数十キロメートルで土中を爆走する地底戦車である」という誇張された説がある一方で、「実はカタツムリよりも足が遅く、驚くほど非力でのんびりした生き物だ」という両極端な説が飛び交っており、本当のもぐらのスピードがどれくらいなのか、混乱を招いています。
そこで今回は、長年さまざまな害獣トラブルの現場に寄り添い、数多くの土壌被害を解決してきた専門家である私が、最新の生物学的・行動科学的な知見を基に、もぐらのスピードに関する意外な真実を解き明かします。さらに、彼らの驚異的な移動能力やパトロールの習性を逆手に取った、農家直伝の非常に科学的で効果的な駆除・捕獲テクニックについて、どこよりも詳しく丁寧に解説していきます。
この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。
- もぐらが新しいトンネルを掘る際の驚くほど遅い実態
- すでに完成したトンネル内を移動する際の俊敏な機動力
- モグラの移動スピードと混同されがちな誤った情報
- トンネルを修復する速さを応用したプロ推奨の捕獲対策
もぐらのスピードの真実と驚きの生態
地中に潜み、私たちの目から完全に隠れて生活しているモグラ。彼らは一体どのような能力を持って土壌を支配しているのでしょうか。
イラストやアニメ、特撮映画に登場する「地底戦車」のような爆発的な掘進イメージと、実際の科学的な測定データの間には、驚くほどのギャップが存在します。彼らが進化の過程で手に入れた独自の移動能力と、驚異的な掘削システムの真実について、二面性のあるスピードデータから詳しくアプローチしていきましょう。
穴掘りはカタツムリ以下の速度

モグラが硬い粘土質や砂礫混じりの未開拓の土壌を、ゼロから掘り進んで新しい生活通路を作る「新規掘削スピード」は、実は人間の想像を絶するほどスローペースです。最新の生態調査や解剖学的なアプローチに基づくシミュレーションによると、野生のモグラが完全に新しい地中ルートを開削する速度は、1時間あたりわずか約30cmから80cm程度にとどまることが判明しています(※数値はあくまで一般的な目安です)。
地上の歩行生物の中で最も緩慢な動きの代名詞とされているカタツムリが、粘液を分泌しながら這って進む速度は時速約4m弱とされていますから、モグラが全力で本道を新規開拓しているときの進行スピードは、実にカタツムリが地表を移動する速度の数分の一以下という極めて遅い実態なのです。この「おそすぎる真実」の背景には、土中という高圧かつ閉鎖された極限環境ならではの物理的なハードルが存在します。
モグラが新しいトンネルを一本開通させるためには、ショベル状に巨大化した前足で前方の頑丈な土壁を削り取り、その剥がした土を自分の体の横やすき間をすり抜けさせて後方へと送り、最終的には地表へと押し上げて「モグラ塚(モグラドーム)」として排出しなければなりません。
この排土プロセスを伴う作業は、彼らの10cm〜15cm程度の小さな肉体にとって、骨格や全身の筋肉に耐え難いほどの摩擦抵抗と重労働を強いることになります。そのため、モグラは無駄な新規開拓でエネルギーを失い餓死してしまわないよう、「どうしても新しいエサ場を開拓する必要があるときにだけ、必要最小限の距離を丁寧に掘る」という、極めて合理的かつ緻密に計算された省エネ型のライフサイクルを徹底しているのです。
浮き道を進む驚異の分速データ

新規開削が驚くほど遅い一方で、農地や庭園を管理している人々からは「ほんの数分の間に、目の前の芝生がみるみるうちに数十センチメートルにわたって盛り上がっていった」「モグラの進行がはっきりと目視できるほどの速さだった」という、先述のカタツムリ以下のペースとは矛盾する生々しい報告がよく寄せられます。この極端な速度のギャップを説明するのが、土壌の深さと作業工法の違いが生み出す「浮き道(うきみち)」の存在です。
モグラは一時的なエサの探索や、ペアリングのための移動、あるいは敵から逃れるなどの緊急時に、地表からごく浅い位置(深さ数センチメートル程度)の非常に柔らかく乾いた表土層を移動することがあります。この時、モグラはわざわざ硬い土を削り取って後方へ排出するという時間のかかるプロセスを踏みません。
彼らは自分の尖った鼻先を強力なくさびのように土の隙間にねじ込み、そこから自慢の強靭な前足のローリング運動によって、土をただ左右や上方にグイグイと押し分けるだけで、自らの体を通す簡易的な隙間を瞬時に作り出します。この簡易進行においては、一時的に分速約30cm(時速換算でなんと約18m)という驚異的なハイスピードを発揮できるのです(※数値はあくまで一般的な目安です)。
しかし、この超高速の進行はあくまでも強度の低い表土限定の移動テクニックです。モグラが日常の寝床や安全な避難所、確実な食料パトロール網として地下約20cm以下の深さに構築する「本道」を掘る際は、粘土質の圧密された土壌を本格的に切り崩す必要があるため、スピードは再び時速数十センチメートルの地道な作業へと急降下することになります。モグラは地中の硬さや目的に応じて、ギアを巧みに切り替えて移動しているのです。
| 環境・状況 | 速度データ(目安) | 生態的背景・物理的プロセス |
|---|---|---|
| 新規掘削(本道) | 時速約30cm〜80cm | 粘土質等の硬い土壌を削り、地上へ排出する重労働。極めて高いエネルギーを要する。 |
| 表土進行(浮き道) | 分速約30cm | 地表至近の柔らかい土を、鼻先と前足で左右に押し分けながら進む簡易的ハイスピード移動。 |
| 既存トンネル巡回 | 最高時速約5km | すでに完成し、障害物の取り除かれた暗黒の地下ハイウェイを全力でパトロール走行。 |
| 地上走行(緊急時) | 最高時速約5km | 天敵の襲来などの極限状態において、発達した後ろ足のバネを活かして地上を疾走。 |
| 土中潜伏(緊急時) | 約5秒 | 地表で危険を察知した際、柔らかい土の上であれば、一瞬で垂直に潜り込むドリル能力。 |
| 水中遊泳 | 水面を遊泳可能 | 防水性に極めて優れた特殊な毛皮の間に空気を閉じ込め、圧倒的な浮力を維持して推進。 |
トンネル内を疾走する高い機動力

新しい掘削には膨大な時間と筋肉の負荷を要するモグラですが、一度自らの手で完成させた既存のトンネル、いわゆる「地下ハイウェイ」に足を踏み入れた瞬間、その運動パフォーマンスは劇的に変貌を遂げ、小動物界でもトップクラスの疾走スピードを見せつけます。モグラが毎日パトロールするために維持している、余計な土砂や障害物が一切排除された本道内部において、彼らは暗闇を全く恐れることなく高速巡回します。
既存トンネルの内部を走行する際の最高速度は、なんと最高で時速約5km(秒速約1.4m)に達することが確認されています(※数値はあくまで一般的な目安です)。これは体長がわずか10cmから15cmほどの、手のひらに収まるような極小の哺乳類としては驚くべき機動力であり、人間の大人が背筋を伸ばしてスタスタと早歩きするスピードに匹敵、あるいはそれを上回る俊敏さです。暗闇かつ、四方を壁で囲まれた直径数センチメートルしかない極細のパイプのような空間で、なぜこれほどのトップスピードを維持できるのでしょうか。
アイマー器官による超感覚ナビゲーション
その秘密は、完全に退化して光をわずかに感じる程度になった視力を補って余りある、超高性能感覚センサー「アイマー器官」にあります。モグラの長く突き出た鼻の先端には、顕微鏡レベルの無数の突起が密集したアイマー器官が存在しており、これが空気の微細な流れ、トンネル壁面からの物理的な接触、地中の極小のバイブレーションを瞬時に演算します。
彼らは目で前を見るのではなく、この鼻先の超高感度センサーによって「全方位の3D障害物マップ」を頭の中に描き、一切の減速なしにトンネルのカーブをすり抜け、トップスピードで疾走することを可能にしているのです。
一晩で九十メートル移動する背景

農業経営者やガーデニングを愛好する人々の間で、「モグラは恐ろしい掘削スピードを持っており、一晩寝て起きたら畑の中に90mにも及ぶ新しいトンネルが張り巡らされていた」という、まことしやかな都市伝説が語られることがよくあります。
しかし、ここまで解説してきた生物学的な掘削データの裏付け(新規掘削:時速30cm〜80cm)から冷静に計算してみると、モグラが一晩(約10時間活動したと仮定)で新しく掘り進められるのは物理的にせいぜい3mから8m程度が生理的な限界であり、90mの新規開削など到底不可能です。エネルギー代謝の観点から見ても、それだけの土を新しく掘り排土すれば、モグラは途中でエネルギー切れを起こして餓死してしまいます。
では、なぜ「一晩で90m」という具体的な数値や、広範囲に広がる新たな盛り土が観察されるのでしょうか。この現象の最大の背景にあるのは、モグラが生き残るために構築した既存の本道ネットワークの執拗な往復運動と、そこから派生する「累積移動距離」の勘違いです。
モグラは土壌の中に網の目のように張り巡らしたマイハイウェイを、エサを求めて1日に何度も、それこそ何十往復も激しくパトロール走行しています。このパトロール中の累積走行距離を、研究者が追跡センサーなどで測定したところ「一晩で合計90m以上移動した」という結果が出たのであり、これがいつの間にか伝言ゲームのように「一晩で90mのトンネルを新しく掘った」という驚異的な噂にすり替わって広まってしまったのです。
地上と水中を移動する運動能力

地中の闇の中では圧倒的なポテンシャルを見せるモグラですが、彼らは地表の明るい世界や、水という全く異なる媒体の中ではどのような動き、そしてスピードを見せるのでしょうか。
実は、彼らが活動領域を地中に限定しているのは、単に地上が嫌いだからという理由だけではなく、地上での極めて不器用な運動骨格と、一方で信じられないほど高度に発達した水中適応能力という、非常にアンバランスでユニークな特性を持っているためです。それぞれの環境における驚きの運動能力に迫ります。
ぎこちないが緊急時は走る地上運動
モグラを明るい地上に引きずり出すと、その歩行動作はまるで這いつくばるようで、見ていて非常に痛々しく、ぎこちないものです。これは彼らの前足が「土を横に掻き出す」ためにショベル状に巨大化し、手のひらが完全に外側(真横)を向くように骨格が特殊化してしまっているためです。
地上の硬い平坦な場所を「足の裏で踏みしめて歩く」という普通の四肢動物の骨格構造を完全に犠牲にしているため、平坦地での通常歩行スピードは非常に遅いです。しかし、猛禽類や猫、イタチなどの天敵に地上で発見された場合のモグラは、驚くべき「火事場の馬鹿力」を発揮します。
発達した後ろ足の強いスプリングを活かし、ぎこちないフォームでありながらも、地中を走るときとほぼ同じ最高時速約5km近い猛ダッシュを見せることがあります(※数値はあくまで一般的な目安です)。さらに、地表が少しでも柔らかい土であれば、まるで水に飛び込むように、わずか5秒程度で頭から潜り込んで姿を消すことができます。
実は非常に得意な水泳能力
多くの人が「土の中で暮らすモグラは、水に濡れるとすぐに死んでしまうのでは」というイメージを持っていますが、これは完全な誤解です。実際のモグラは、驚くほど高い「水泳能力」を標準装備しています。彼らの身にまとっている極めて細かく密度の高い毛皮は、一方向に寝ない特殊なビロード状の構造をしており、優れた防水性と撥水性を有しています。
水に浸かると、この高密度な毛皮の隙間にミクロの空気の層が作られ、これがまるで救命胴衣(ライフジャケット)のように機能して、水面で自動的に高い浮力を生み出すのです。泳ぐ際、彼らはショベル状の前足を無理に動かしてバタバタさせるのではなく、体全体をトカゲのように左右に大きくうねらせ、後ろ足で効率的に水を蹴ることで推進力を得てスイスイと前進します。
大雨や台風によって地中の大切なマイホームが水没した際には、この高度な遊泳スピードを発揮して川を渡り、浸水しにくい安全な高台へと自力で避難して生き延びているのです。
時速五十キロメートルという誤解

インターネットの海を検索していると、時折「モグラの地中での掘削スピードは時速50kmに達する」「緊急時には時速80kmで土を突き進む驚異の生物」といった、SF映画も顔負けの超高速データが真面目に記載されているウェブサイトやSNSの投稿を目にすることがあります。しかし、これらは生物学的・物理的・解剖学的な観点から言っても、100%完全なデマであり誤情報です。
冷静に考えてみてください。体長わずか12cm程度、体重100g前後の小さなモグラが、もし時速50km(一般的な自動車が一般道を走行するスピード)で土中を掘り進んだとしたら、その時に発生する土壌との摩擦熱によって彼らの肉体は一瞬で焼き尽くされてしまいます。
また、それほどのスピードで土壁を粉砕し、後方へ押し流すためには、巨大な火力発電所並みの莫大な馬力エネルギーをあの小さな肉体で消費しなければならず、物理法則に完全に反しています。
この「時速50km」というデタラメな数値がどこからやってきたのかを分析すると、野生のキツネやタカなどの鋭い牙から逃れるために、命がけで地上を時速80km近くで疾走するエゾユキウサギのダッシュデータや、俊敏な肉食動物の最高時速データが、何らかの理由で「モグラの穴掘りスピード」と混同され、ネット上でコピー&ペーストが繰り返されるうちに事実のように固定化されてしまったものと推測されます。
現実世界のリアルなモグラは、時速5kmの華麗なトンネルパトロールと、時速30cm〜80cmの極めて地道で慎重な安全掘削を使い分けることで、過酷な自然界をクレバーに生き抜いているのです。
もぐらのスピードが与える被害と対策
モグラの新しい穴掘りスピードが「カタツムリ以下」という非常にのんびりしたものであると聞いて、「なんだ、それならお庭や畑の対策は慌ててやらなくても大丈夫だな」と安心した方は、非常に危険な罠に陥っています。
彼らの新道開削は確かに遅いですが、すでに完成したトンネル内をパトロールするスピード、そして彼らの生命を維持するための超高速な食事ライフサイクルは、私たちの農業や園芸、お庭の景観に対して、まさに「一刻を争う重大な危機」をもたらす起爆剤となります。
ここからは、モグラのスピードに起因する深刻な実害と、その特異なスピードの性質を完全にハッキングして科学的にハメる、プロ推奨の撃退アプローチを余すことなくお伝えします。
胃袋を満たす超過密な活動サイクル

モグラが私たちの庭や大切に育てている作物の根元を絶え間なく走り回り、新しい土を掘り起こして景観を破壊し続ける最大の理由は、彼らの狂気的とも言える高代謝な生存条件にあります。
モグラは地中の重労働(土の開削・排土)と、既存トンネルの猛スピードのパトロール走行によって、その小さな肉体に見合わないほどの膨大なカロリーを消費しています。そのため、彼らは一日のうちに、自身の体重の約半分から、状況によっては同等量(約100g)に及ぶ大量の生きエサ(ミミズや甲虫の幼虫、ムカデなど)を絶え間なく食べ続けなければなりません。
この猛烈な食欲を支える消化器官のスピードは非常に速く、もし胃の中にエサが供給されない「飢餓状態」がわずか12時間から14時間程度継続してしまうと、モグラは自らの体温を維持できなくなり、深刻な低血糖・エネルギー不足によってあっけなく餓死してしまいます(※数値はあくまで一般的な目安です)。
この餓死との戦いを生き抜くために、モグラは一般的な動物のような「夜起きて昼寝る」といったのんびりした生活リズムを捨て去りました。彼らは「約4時間の深い睡眠(仮死状態に近い休止)」と「約4時間のエサを求めた猛烈な活動(既存トンネルの爆走パトロールと新規掘削)」を、1日24時間の中で狂いなく3サイクル繰り返すという、分刻みの超過密スケジュールに一生涯縛られているのです。
この凄まじい活動スピードとパトロールの頻度こそが、あなたの庭や畑の土壌をあっという間にスカスカの穴だらけにしてしまう最大の原因なのです。
水田の水を一晩で抜くトンネル網

モグラが大切な畑や水田の周辺エリアにひとたび侵入すると、その被害進行スピードは凄まじく、一刻の猶予も許されない致命的な農業災害へと発展します。一般の畑であれば、モグラがエサのミミズを求めて作物の株元を縦横無尽に掘り回ることにより、作物の吸水にとって最も重要な「細根(さいこん)」や幼苗の根系が物理的に引きちぎられてしまいます。
また、土の中に網の目のように中空のトンネルが作られることで根の周囲に隙間が生じ、そこから水分が蒸発して根が完全に乾燥し、数日のうちに作物が立ったまま枯死してしまうという深刻な立ち枯れ被害が多発します。
さらに、特に日本の稲作農家にとって最も壊滅的な被害をもたらすのが、水田を囲む「畦畔(けいはん:あぜ道)」に沿って掘られるパトロール用の本道トンネルです。あぜ道は水を水田内にしっかりと蓄えるための重要な土のダムですが、モグラがこのあぜ道を貫通するトンネルを掘ってしまうと、水田内に満々と張られていた大切な農業用水が、たった一晩のうちにそのトンネルをバイパスにして外へすべて抜け落ちてしまうのです。
水が抜けるだけでなく、流れ出る水の激しい水圧によってあぜ道自体が内側から崩壊・決壊し、周囲の農地を巻き込む大損害に発展することもあります。このように、モグラの移動スピードと活動頻度がもたらす実害の進行は、私たちの経済活動にダイレクトに打撃を与えるため、発見次第、神速の初期対応を行うことが絶対に不可欠です。
本道を見極める修復速度の活用

モグラからお庭や大切な畑をディフェンスするために、最も重要でありながら、多くの素人ガーデナーが失敗してしまう最大のターニングポイントは、「現在進行形で使われているモグラの本道(幹線道路)」と「一度きり使われて放棄された浮き道や枝道(支線)」をいかにして見極めるかという点にあります。
市販されている高価な罠や強力な忌避剤を適当にその辺のモグラ塚に設置しても、全く効果が出ないのは、モグラが二度と通らない過去の廃道に設置してしまっているからです。ここでプロの専門業者が最大の武器として活用するのが、モグラの驚異的な「トンネル修復スピード」です。
モグラは4時間おきの活動サイクルの中で、自分が生きるために不可欠なメインの本道を常に綺麗にメンテナンスし、いつでも時速5kmで爆走できるように障害物を嫌う性質を持っています。
もし、この本道の天井が崩れて土で塞がれていたり、人間によって踏み潰されていたりすると、パトロールの邪魔になるため、次の巡回サイクル(最長でも半日〜一晩以内)の間に、必ず自慢の前足を使って崩れた土を押し退け、元通りの綺麗なトンネルに修復しようとするのです。この習性を応用した、本道を100%見極めるプロの手順が以下の通りです。
プロが実践する本道特定の3ステップ
- お庭や畑の中で、モグラの通り道として地面が不自然に盛り上がっているライン(浮き道や浅い本道)を、何箇所か足の裏でしっかりと体重をかけて踏み潰し、地表を平らに均しておきます。
- 踏み潰したポイントの横に、目印として割り箸や小さな目印用の棒を立てておき、そのまま半日〜一晩(約12時間)そっと様子を見ます。
- 翌朝、現場を巡回して確認し、踏み潰した場所が綺麗にモコッと押し戻され、トンネルが貫通・修復されていたら、そこが間違いなく現在モグラが超高頻度でパトロールしている「本道」です。
逆に、数日経っても一向に土が押し戻されず平らなままの場所は、エサを探すために一時的に掘られただけの使い捨ての道か、すでに用済みの廃道ですので、そこに罠や忌避剤を仕掛けても一切意味がありません。この「修復スピードの有無」を確認することこそが、無駄のない百発百中の防除を達成するための科学的なアプローチなのです。
捕獲器や忌避剤による科学的対策

修復スピードの検証によってモグラが現在進行形で疾走している「本道」を完全にマークできたら、いよいよ科学的な防除・撃退プロセスへと移行します。モグラの持つ驚異的な感覚器官(アイマー器官など)や、人間の匂いに対する病的なまでの警戒心、そして学習能力をすべて逆手に取り、罠や忌避剤を最も効果的に組み合わせるテクニックを駆使しましょう。
1. 本道への捕獲器(箱ワナ)の設置
特定した本道トンネルを慎重にシャベルで掘り返し、トンネルの軸線と完全に一直線になるように、モグラ専用の筒状または箱型の捕獲器をセットします。
モグラは視覚が退化している代わりに嗅覚と接触感覚が異様なほど発達しているため、捕獲器にわずかでも「人間の皮脂の匂い」や「金属臭」、「タバコの匂い」などが付着していると、即座に異物と判断して手前で土を盛り上げて罠を塞いでしまい、絶対に中に入りません。
罠を扱う際は、必ず新品の軍手やゴム手袋を着用し、設置前に罠を現地の泥水でしっかりと洗って周囲の土の匂いになじませるか、罠の内部にミミズを擦りつけて誘引率を高める工夫が有効です。
※日本国内における野生モグラの捕獲に関しては、生態系保護の観点から「鳥獣保護管理法(鳥獣保護法)」が適用されます。農林業の被害防止目的などの正当な理由であっても、お住まいの自治体への事前申請や、狩猟免許の所持が必要となるケースがあります。
捕獲活動を行う際は、必ず地域の役所や指導機関のルールを確認し、法的な秩序を厳格に遵守した上で適切に対応してください。最終的な判断や安全な処分については専門家にご相談ください。
(出典:環境省「鳥獣保護管理法の概要」)
2. 忌避剤や音波による追い出し
「罠で捕らえて処分するのは精神的に苦痛だ」という方や、広範囲な畑からモグラを傷つけずに自主的に立ち退かせたい場合には、彼らの極めて鋭敏な五感を刺激するアプローチがベストです。
嗅覚を強烈に刺激するアイテムとして、天然の木酢液や純度の高いハバネロ成分(カプサイシン)、ヨモギ抽出液、コーヒー粉、あるいは毒性と強烈な忌避効果を持つ彼岸花の球根スライスなどを本道の内部に埋め込むことで、モグラを強力に撃退できます。
また、音や振動に過敏な性質を利用し、地中に数分おきに不規則な音波や電磁振動を発生させる「ソーラー式モグラ撃退器」を設置することも、彼らに強いストレスを与えてパトロールルートから排除するのに極めて高い効果を発揮します。
もぐらのスピードに関する知識のまとめ

今回は、多くの方が何となくイメージしていながらも、その実態については謎に包まれていた「もぐらのスピード」について、その驚くべき二面性から生じる科学的な真実と、私たちの生活空間を守るための実践的な防除・駆除の知恵を網羅的に解説してきました。
一見すると、お庭をめちゃくちゃに荒らす地底のモンスターのように感じられますが、実際のモグラは以下のように極めて合理的で、かつフィジカルの限界と戦いながら生きている非常にデリケートな哺乳類なのです。
もぐらのスピードに関する超重要ポイント
- 新規に生活空間(本道)を開削する速度は、時速約30cm〜80cm程度とカタツムリ以下であり、肉体的に過酷な重労働。
- すでに構築され、整備された既存のマイハイウェイ内に入ると、最高時速約5km(人間の早歩きの速さ)で俊敏に疾走・パトロールする。
- 飢餓に極端に弱く、12時間〜14時間食べないと餓死するため、24時間の中でパトロールと食事を狂いなく激しく往復・繰り返している。
- 本道を土で塞がれたり踏み潰されたりすると、そのパトロールの習性から一晩(半日以内)のうちに元通りに修復する驚異的なリアクションの早さを持つ。
モグラによって大切なお庭の芝生を穴だらけにされたり、畑の作物を枯らされたり、水田のあぜ道を一晩で破壊されたりする被害を最小限にシャットアウトするための最大の必勝法は、彼らの「踏み潰された本道を一晩で直そうとする修復スピード」を逆手に取り、幹線道路(本道)の位置を正確に割り出して、ピンポイントで罠や忌避剤を投下することに尽きます。
相手の素早さと生態をしっかりと科学的にハッキングすれば、決して恐れる必要はありません。
もし、モグラの被害エリアが広大すぎて個人での特定や踏み潰し作業が物理的に困難な場合や、自治体への申請手続きが煩雑で手に負えないと感じた場合は、どうか一人で悩んで時間を浪費せず、害獣防除のプロフェッショナルである信頼できる専門業者へ速やかに相談することも賢い選択肢として検討してください。
正しい科学的なアプローチを実践し、大切な美しいお庭や農作物を、モグラの脅威から確実に、スマートに守り抜きましょう。