ハクビシンの大根食害対策!犯人の特定方法と効果的な防除法

大切に育ててきた畑の大根がかじられたり、大根の葉が不自然に荒らされたりして、悲しい思いをしていませんか。せっかく収穫を心待ちにしていた農作物が一晩で無惨な姿になってしまうのは、言葉にできないほど悔しいものです。

実は、このような大根の被害をもたらす代表的な犯人の一つがハクビシンです。ハクビシンの大根に対する執着心は非常に強く、一度味を覚えると何度も畑に侵入して食害を繰り返す厄介な習性を持っています。

大根の対策として防獣ネットを張るなどの方法がありますが、ハクビシンの高い身体能力や細い隙間を通り抜ける器用さを甘く見ていると、簡単に突破されてしまいます。

また、地域によってはハクビシンではなく別の害獣が原因である場合もあり、正しい犯人の特定とそれぞれの生態に合わせた的確なアプローチが不可欠です。

この記事では、大根を荒らす真犯人の見分け方から、効果的な電気柵の設計、さらには行政のルールに則った適法な捕獲手続きまで、私が培ってきた専門知識を交えて分かりやすく解説します。

この記事を読むことで理解できる内容は以下のとおりです。

  • 大根の食痕や糞からハクビシンが犯人であるかを見極める方法
  • アライグマやタヌキなどの他害獣とハクビシンの決定的な生態の違い
  • ハクビシンの侵入を物理的かつ電気的に完全にシャットアウトする防除技術
  • 鳥獣保護管理法に違反しない正しい捕獲手続きと自治体の支援制度の活用法
目次

ハクビシンの大根食害を特定する痕跡と他害獣との識別方法

畑の大根が荒らされたとき、対策を立てるための第一歩は「誰がそれをやったのか」という犯人の特定です。動物によって食べる時の癖や身体の動かし方が異なるため、残された食痕や足跡、フンにはそれぞれ独自のサインが現れます。

ここでは、ハクビシンが大根を食べる際の特徴的な行動や、混同しやすいアライグマなどの他の野生動物との見分け方、さらに葉に現れる病害虫の症状との識別方法について詳しく解説します。私が現場で確認してきた野生動物の生々しい摂食痕や行動パターンを基に、その識別技術のすべてをここに明かします。

大根がかじられた原因と不揃いな噛み跡の特徴

ハクビシンが大根を食害する際、最も目立つのは「大根の茎や葉柄を倒さずに、土から露出した根部(実)だけをかじる」という極めて特徴的な摂食様式です。

これにより、被害に遭った大根の周囲の葉は乱雑に引き剥がされ、かじられた大根の芯の部分には薄皮が不規則に残されることになります。この不揃いで荒々しい噛み跡は、まるで子供が食べ散らかしたかのような印象を与えるのが特徴です。

ハクビシンの口腔内には鋭く尖った犬歯があります。これを作物に突き刺すようにして直接かじりつくため、食害された表面には「V字型」の切れ込みや、不揃いな歯型が1〜2本の短い線として不規則に刻まれます。

アライグマのように前足を使って器用に皮を剥くことはできないため、直接口を押し当てて貪り食う結果、大根に穿たれる穴は大きく、引きちぎられたような荒々しい形状になります。

また、地這い作物全般に対して直接口を押し当てるため、食害の開始点が常に地面に近い露出部に集中するという点も、彼らの解剖学的特徴および摂食行動を裏付ける大きな証拠となります。

動画解析等から判明した採食行動の真実

農研機構などの高精度な赤外線カメラを用いた映像解析や行動研究によると、ハクビシンは作物を摂食する際、対象を前足で引き寄せる仕草は見せるものの、指先を独立して動かすような緻密な動作は行いません。

スイカであれば直径10cm以上の巨大な破壊孔を開けて頭を強引に突っ込み、内部の甘い果肉だけを貪り食うといった豪快な荒らし方をします。大根においても、甘みの強い中心部を狙って強引に口腔を押し当てるため、周囲には削りカスがあまり散乱せず、実の内部がえぐり取られたような独特の空洞が形成されるのです。

樹上での「吐き出し」行動にも注意
ハクビシンは地上での根菜類の食害だけでなく、樹上の果実を狙う際にも特異な行動を見せます。手先が不器用なため、果実を枝からきれいに「もぎ取る」ことはせず、枝にぶら下がった状態の果実に直接口を付けます。皮ごと噛み砕き、果肉を咀嚼して甘い液汁だけを吸い取った後、残った果皮をその場に吐き出すという「吐き出し行動」を行うため、木の下には水分を吸い取られた汚い皮の残骸が散乱することになります。

ヌートリアによる食害とギザギザな平行削り跡

地域によっては、ハクビシンではなく特定外来生物である「ヌートリア」が大根を荒らしている可能性があります。特に水辺に近い農地や、ヌートリアの生息が確認されている地域では、この齧歯(げっし)目による食害を疑う必要があります。彼らは川やため池などの水系を移動経路として利用するため、水場から数百メートル以内の圃場ではハクビシン以上の頻度で深刻な農業被害をもたらすケースが後を絶ちません。

ヌートリアが大根をかじる場合、ハクビシンとは大きく異なる痕跡を残します。彼らはオレンジ色の頑丈で鋭い門歯(前歯)を持っているため、大根をかじった跡にはギザギザとした平行な削り跡が明瞭に残ります。

これは彫刻刀で一定の幅を削り取ったかのような規則性があり、ハクビシンの不規則なV字型の犬歯痕とは一目で識別が可能です。さらに、ヌートリアは食べるだけでなく、周囲の土壌を強靭な前足で大きく掘り返し、大根を株ごとひっくり返して食害することもあるため、ハクビシンに比べて畑全体の荒らされ方がより土木的で大規模になる傾向があります。

水辺の害獣特有のフィールドサイン

ヌートリアが侵入した畑の周囲には、指の間に大きな水かきを持った特徴的な後足の足跡が残されることが多く、これもハクビシンとの識別における決定的な要因となります。

また、彼らはかじり取った大根を近くの水辺までわざわざ運んでから洗うようにして食べる行動も観察されており、圃場から水場へ向かって大根の破片や引きずった痕跡が点々と続いている場合は、ヌートリアが真犯人である可能性が極めて高くなります。

ハクビシンとアライグマの顔立ちや形態の違い

畑で見かける、あるいは防犯カメラ等に映る中型哺乳類がハクビシンなのかアライグマなのか、それとも他の動物なのかを識別することは、最適な防除器具を選ぶ上で極めて重要です。それぞれの顔立ちや尾の形状には、はっきりとした形態的特徴が存在します。これらを正確に見極めることで、無駄な対策コストを支払うリスクを大幅に減らすことができます。

まず、ハクビシン(白鼻芯)は、その名の通り「額から鼻先にかけて中央を一貫する鮮明な一本の白い筋」が通っているのが最大の特徴です。体長は約60cmで胴体が細長く、四肢が短い独特のプロポーションをしています。

これに対し、アライグマは目の周りに明瞭な黒いマスク模様があり、眉間に白い斑(眉)を持っています。また、タヌキも目の周りが黒いですが、アライグマのような白い眉や耳の縁の白さはなく、耳が小さく丸い顔立ちをしています。アナグマは額が薄茶色でハクビシンと混同されやすいですが、白線が鮮明ではないため区別できます。

項目ハクビシンアライグマタヌキアナグマヌートリア
顔貌の特徴額から鼻先に鮮明な白い縦線が通る。目の周りが黒く、眉と耳の縁が白い。目の周りは黒いが眉の白さはなく耳が丸い。目の周りが緩やかに黒く、額全体がやや薄茶。オレンジ色の大きな前歯と鼻の上の白いヒゲ。
尾の形状細長く、全体が黒〜暗色一色。灰色と黒の美しいしま模様(リングテイル)。茶褐色一色で、短く丸みを帯びる。太く短い。ほぼ無毛でねずみ状の長い尾。
足跡前後ともに5本指。爪痕が鮮明。前後ともに5本指。人間の手のような形状。4本指。犬に酷似。5本指。地を掘るための強大な爪痕。5本指。後足には大きな水かきがある。

運動能力と木登りや電線の綱渡り特性の比較

防獣対策を講じる上で、対象動物の移動ルートを予測することは欠かせません。特にハクビシンは、ジャコウネコ科特有の驚異的な三次元的移動能力を持っています。彼らは木登りが極めて得意であり、垂直な壁や、直径の細い雨どい、揺れる細い枝先、さらにはピンと張られた電線やロープの上すらも綱渡りのように難なく移動してしまいます。足の関節が非常に柔軟で、後ろ足を反転させて木を垂直に降りることも可能です。

一方で、タヌキやアナグマは完全な地上性(または地中性)の動物であり、木に登ることは基本的にできません。そのため、彼らが侵入する場合は必ず地上からの平面的アプローチに限定されます。

アライグマも木登りは得意ですが、ハクビシンのように細い電線を綱渡りするほどの極めて細緻なバランス感覚や空中移動能力までは持ち合わせていません。この垂直方向への圧倒的な移動特性こそが、地上に設置するだけの簡易的な柵を無効化し、ハクビシン防除を難しくしている最大の要因なのです。

三次元的な侵入経路の遮断手法

ハクビシンは畑の周囲に木々が張り出している場合、地上の柵を完全に無視して樹上からダイレクトに圃場内へ飛び降りてくることがあります。そのため、彼らを防除する際は地上だけでなく、頭上の空間にも気を配らなければなりません。支柱の近くに足がかりとなる構造物や樹木の枝がないかを確認し、それらを事前に剪定・撤去しておくことが、ハクビシンの驚異的な身体能力に対抗するための鉄則となります。

溜め糞を行う排泄習性とフンの特徴による見分け方

敷地内や畑の周辺に「フン」が落ちている場合、それは害獣からの重要な警告サイン(フィールドサイン)です。ハクビシンには、一度排泄場所と決めたお気に入りの場所に繰り返し糞尿をする「溜め糞(ためぐん)」という非常に強い習性があります。彼らは縄張り意識や情報共有のためにこの行動をとると考えられており、特定の場所に驚くほどの量のフンが積み上がることになります。

ハクビシンのフンは、小型犬と同等(約5〜15cmの丸みを帯びた棒状)の大きさで、彼らが好む果実の種子が多量に混入していることが多いのが特徴です。溜め糞を放置すると、屋根裏や畑の一角に数十キロ単位の糞が蓄積し、強烈な悪臭を放つだけでなく、家屋を腐食させる原因になります。

これに対し、アライグマには特定の場所に固定して溜め糞をする習性はなく、フンをあちこちに散発的に撒き散らす傾向があるため、フンの堆積状況を見ることで犯人を特定する大きな手がかりになります。

フンに含まれる内容物からのアプローチ

ハクビシンの高い雑食性を裏付けるように、彼らのフンには未消化の植物種子や昆虫のキチン質が含まれていることが圧倒的に多いです。特に大根の食害期には、大根の繊維質がそのまま固まったような淡い色のフンが見つかることもあります。このような排泄物の内容物調査を行うことは、彼らが現在進行形で何を主食としているかを突き止める上で、我々専門家にとっても極めて重要なプロセスとなっています。

ハダニによる白化現象とミスト水やりの効果

大根の栽培中、葉が白っぽく変色したり、細かな虫食い穴が開いたりすることがありますが、これはハクビシンによる食害ではなく、微小な害虫の発生によるものがほとんどです。特に代表的なのが「ハダニ」による白化現象です。ハダニは肉眼では確認しづらいほど小さなクモの仲間の害虫であり、防獣対策とは全く異なる園芸的・農学的なアプローチが必要となります。

ハダニは、4月から10月にかけての温暖かつ乾燥した時期に、大根の葉裏に大量発生しやすくなります。彼らが葉裏から組織の栄養(葉緑素)を吸汁することで、葉の表面に細かい白い点々が多数現れ、重症化すると葉全体が薄茶色に乾燥して枯死してしまいます。

ハダニは極端に水を嫌う生理的特性を持っているため、定期的に葉の裏面へ向けて勢いよく散水を行う「ミスト水やり」を徹底することで、農薬に頼らずともその増殖を効果的に抑制できます。これにより、葉の健康を保ち、大根の根部へ十分な栄養を行き渡らせることが可能になります。

白サビ病やモザイク病による葉の異常と食用可否

大根の葉に現れる白い斑点や模様には、害虫以外の「植物病害」が原因であるケースも多々あります。これらは糸状菌(カビ)やウイルスが原因で引き起こされ、放置すると畑全体に蔓延してそのシーズンの収穫が壊滅的な打撃を受けることも珍しくありません。代表的な病害とその安全性について確認しておきましょう。

  • 白サビ病(白さび病):葉に白い斑点や胞子の塊が多数付着する糸状菌(カビ)による病気。発生すると光合成能力が低下し、大根の根部の肥大が阻害されます。
  • モザイク病:アブラムシが媒介するウイルス病。葉に黄色と緑の不規則な斑模様が現れ、生育が著しく遅れるため、早期の抜き取りが必要です。
  • キスジノミハムシ:幼虫が地下の大根を食い荒らして傷だらけにし、成虫は葉に小さなピンホール状の穴を無数に開けます。

野生動物にかじられた大根は「絶対に食用禁止」
害虫や病害(ハダニ、白サビ病など)による軽微な穴や白い斑点がある大根は、水でよく洗い、変色部を厚めに切り落とせば人体への毒性はないため安全に食べることができます。

しかし、ハクビシンやアライグマなどの野生動物にかじられた大根は、唾液を介した重篤な人獣共通感染症(ズーノーシス)や狂犬病、サルモネラ菌、ダニ・ノミ、寄生虫の感染リスクが極めて高いため、一部を切り取って食べることも厳禁です。速やかに密封して廃棄してください。

ハクビシンの大根被害を防ぐ電気柵の設計と完全駆除プラン

ハクビシンによる大根食害を物理的・電気的に遮断し、被害をゼロにするための実践的な防除設計と、個体数を適切に減らすための合法的な捕獲手続き、プロによる徹底的な駆除方法について解説します。

彼らは優れた記憶力と極めて高い学習能力を持っているため、中途半端な対策は見破られてしまいます。人間の知恵を結集した隙のない総合的な防護システムの構築こそが、完全勝利への唯一の切符となります。

防獣ネットの限界と地際の隙間への埋め込み対策

大根をハクビシンから守る際、単純に防獣ネットを周囲に張るだけでは、高い確率で突破されてしまいます。ハクビシンは非常に柔軟な体をしており、わずか「6cmの隙間」があれば、頭を押し込んで簡単にすりぬけてしまうからです。市販の防獣ネットの多くが10cm目合いなど粗いものである場合、彼らにとっては存在しないも同然の通過ルートとなってしまいます。

ネットの設置に際しては、ハクビシンの探索・突破行動に合わせた「二面性」のある対策が必要です。まず、彼らはネットの下部の弛んだ隙間を手や鼻で探索し、押し広げてくぐり抜けようとします。これを物理的に遮断するためには、ネットの裾を「地中20cm程度」まで埋設し、頑丈なスチール製のペグや杭で隙間なく固定する必要があります。

一方で、ハクビシンは「能動的に地面にトンネルを掘って進入することは基本的にない」と各種農業試験場でも指摘されています。彼らは下から入れないと分かると、今度はネットを鋭い牙で噛み切ろうとしたり、器用に足をかけてよじ登ろうとしたりします。

そのため、地際の密閉と同時に、ネットの上部に「返し(外側への折り返し)」を設けるか、上部まで完全にネットで覆うクローズド設計にすることが、物理ネットによる防除の限界を克服する鍵となります。

電気柵の施工基準と漏電を防ぐ下草の管理方法

ハクビシン対策において最も実効性が高く、私が強く推奨するのが「電気柵」の導入です。ハクビシンは鼻面などの皮膚感覚が非常に過敏で、電気ショックを嫌う生理的特性を持っています。5,000〜10,000Vの高電圧パルスをその鼻に一瞬浴びせることで、強い恐怖と学習効果を与え、二度と畑に近づかなくさせることができます。電流自体は極めて微細なパルス状であるため、動物を死傷させることなく、精神的な障壁として機能します。

電気柵を効果的に機能させるための具体的な施工基準は以下の通りです。

ハクビシン専用電気柵の配線設計
ハクビシンの顔の厚みは約6cmです。このため、柵線の間隔は「地面から5cm、15cm、25cmの10cm間隔(計3段)」、または「最下線を地面から15cmにし、その上に15cm間隔で合計4本の柵線を張る」という極めて緻密な極間設定が必要です。この隙間を維持することで、くぐり抜けようとした鼻先に確実に通電させることができます。

電気柵を稼働させる上での致命的な弱点は「漏電」です。成長した下草が柵線に触れると、そこから電気が地中へ逃げてしまい、必要な電圧が維持できなくなります。これを防ぐため、電気柵の直下には必ず防草シートや畦波板を敷設するか、定期的に除草剤を散布して「下草が柵線に触れない環境」を維持・管理することが極めて重要です。電圧テスターを用いて、日常的に適切な電位が維持されているかを巡回確認する体制も不可欠となります。

物理ネットと電気柵を融合させた「複合柵」の威力

さらに防除効果を高める応用技術として、物理ネットのよじ登り行動を逆手に取った「複合柵」があります。ネットの上部にマイナス極となる直管パイプを配し、そのすぐ近くにプラス極の電気柵線を平行に通すシステム(通称:白落くんなど)がこれに該当します。

ハクビシンがネットを登り、上部を突破しようと立ち上がって両極に同時に触れた瞬間、空中で激しいショックを受けるため、登坂による侵入を完璧に阻止することが可能になります。

鳥獣保護管理法のペナルティと小型はこわなの申請

どれほど強固なネットや電気柵を設置しても被害が止まらない場合、最終的な手段として個体数を減らすための「捕獲・駆除」を行うことになります。しかし、ハクビシンは野生鳥獣であり、国の法律によって厳しく守られています。農作物を荒らす害獣だからといって、自己判断で即座に殺傷処分を行うことは法的に許されません。

ハクビシンは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」の対象であるため、行政の許可を得ずに勝手に罠を設置して捕獲・殺傷することは固く禁じられています。万が一、無許可で捕獲を行った場合は、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という極めて重い刑事罰が科される可能性があります。

そのため、捕獲を検討する際は、必ずお住まいの自治体の鳥獣被害担当窓口(環境課や農林課など)への事前申請を行わなければなりません。正確な情報は各自治体の公式サイトをご確認ください。

ただし、一般の居住者が自らの財産や家庭菜園を守る目的に限り、狩猟免許(わな猟免許)を所持していなくても、特例として小型の箱罠(はこわな)を用いた捕獲申請が認められる場合があります。具体的には、「自宅の敷地内」で、「縦・横・高さの合計が160cm以下」の小型箱罠を使用する場合など、一定の条件を満たせば免許不要で許可が下りる自治体が多く存在します。

なお、法定狩猟期間内(11月15日〜翌年2月15日)に登録を受けた免許保持者が行う場合は手続きが簡素化されますが、一般の防除申請では事前の行政許可証の交付と携帯が絶対条件となります。

吊り餌式と踏み板式の箱罠選定とバナナでの誘引

自治体から適法な捕獲許可が下りたら、いよいよ箱罠を稼働させます。箱罠には大きく分けて「吊り餌式」と「踏み板式」の2種類があり、それぞれの特徴を理解して使い分ける必要があります。設置環境やターゲットの警戒度に合わせて罠のタイプを使い分けることが、限られた捕獲期間内で成果を上げるためのプロの技術です。

  • 吊り餌式:箱罠の奥にあるフック(かぎ針)に餌を吊り下げ、獲物がそれを引っ張ることで扉が閉まる仕組み。一定の引っ張る力が必要なため、ネズミや小鳥などのターゲット外の動物が誤ってかかる「混獲」を防ぎやすいメリットがあります。
  • 踏み板式:奥に設置された板を踏むことで仕掛けが落ち、扉が閉まる仕組み。警戒心の薄い個体に対しては極めて高い捕獲率を誇りますが、落ち葉の落下や風、体重の軽い小動物の侵入でも作動しやすいというデメリットがあります。

罠を仕掛ける場所は、ハクビシンが頻繁に通る「獣道」、雨どいの支柱の根元、庭の側溝沿いなど、泥足跡や爪痕といったフィールドサインが集中している場所にピンポイントで設置します。誘引する餌としては、彼らが最も好む糖度の高い果物、特に網袋に入れた完熟バナナやリンゴ、ミカンなどを奥に吊り下げ、周囲に匂いを拡散させるのが最も効果的です。

なお、罠の設置中は毎日1回(通常は朝方)の見回りが義務付けられています。万が一、対象外の動物がかかっていた場合は直ちにその場で安全に放獣しなければなりません。

また、捕獲したハクビシンは申請者が責任を持って人道的に処分(殺処分および埋設など)する必要があり、別の森林などへ生きたまま放獣(リリース)することは法律で固く禁じられている点に注意してください。処分作業に精神的・肉体的な負担を感じる場合は、事前に回収まで行ってくれる自治体支援の有無を確認しておくべきです。

自治体の捕獲支援策とプロによる侵入経路の封鎖

ハクビシンによる生活被害や農業被害が深刻な地域(特に東京都内など)では、自治体が独自に捕獲器の無料貸出や回収支援を行っているケースが多くあります。以下に、主要な自治体における具体的な支援事業の内容をまとめました。地域の制度を正しく把握し、賢く活用することが自己防衛の近道となります。

自治体事業名・支援内容適用要件・住民の作業負担問い合わせ窓口
東京都杉並区無料での箱わな設置・回収支援(区の委託業者が現地調査から対応)。区内の対象住宅の所有者・管理者であること。餌の用意・交換、毎日の見回り、捕獲時の即時連絡(時間外回収は翌朝対応)。環境部環境課生活環境担当
東京都町田市アライグマ・ハクビシン防除事業(最長2週間、捕獲器設置・回収は市負担)。市内の土地を所有・管理し、具体的な生活被害があること。毎日の点検、餌の用意、捕獲時の連絡。環境共生課生活環境係
東京都立川市アライグマ・ハクビシン防除事業(委託業者による現地調査、最大2週間の罠設置)。市への被害相談後、職員による現地確認。毎日の見回りと捕獲時の即時連絡。環境政策課
東京都青梅市外来生物等防除事業(委託業者による調査、2週間程度の捕獲器設置)。相談者の所有地に限る。農業被害の場合は農林水産課、生活被害の場合は環境政策課が対応。環境政策課 / 農林水産課
神奈川県横浜市家屋敷地内におけるハクビシンの市負担による捕獲・回収。農地や山林、法人の管理施設など、家屋敷地外の被害は対象外。各区役所の窓口

ここで重要な注意点があります。自治体の公的支援はあくまで「庭先などでの個体の捕獲」のみに限定されています。ハクビシンは学習能力が高く、1頭を捕獲して一時的に被害が収まったように見えても、家屋への侵入口(床下の通気口、軒下の隙間、屋根瓦のズレなど)が開いたままであれば、すぐに別の個体が侵入して同じ被害を繰り返します。個体数を減らすだけでは根本的な解決には至りません。

特に屋根裏に定着してしまっている場合、そこには何十キロもの「溜め糞」が堆積し、天井板の腐食、ダニ・ノミの発生、感染症リスクの増大といった深刻な二次被害を引き起こします。

これらを完全に防ぐためには、民間専門業者による「総合的防除(追い出し、侵入口の完全封鎖、糞尿清掃・消毒・消臭、断熱材の交換)」が必要です。施工料金は被害状況に応じて数万円から数十万円と幅広いため、天井が腐食して抜け落ちるような深刻な事態になる前に、最終的な判断は専門家にご相談ください。

ハクビシンの大根食害を防ぐ総合管理対策のまとめ

大根をはじめとする大切な農作物をハクビシンの被害から守り抜くためには、その場限りのネット設置や一時的な捕獲ではなく、生態に基づいた「総合的被害管理(IPM)」の視点が極めて重要です。単一の対策に依存するのではなく、物理的遮断、環境改変、個体数管理を立体的に組み合わせることで、初めて確実な効果が生まれます。

ハクビシンを畑に寄せ付けない環境づくりのため、収穫後に残されたクズ大根(残渣)を野外に放置しない環境クリーンアップから始めましょう。餌資源を断つことは、野生動物の定着を防ぐための最も基礎的かつ強力な防除アプローチです。

その上で、彼らの敏感な鼻面を狙った「高電圧電気柵」を緻密に設計・維持管理し、物理的な侵入を徹底的に遮断します。もし家屋への侵入など生活空間への被害に及んだ場合には、鳥獣保護管理法に準拠した適法な手続きを取りつつ、自治体の罠設置支援やプロの物理的封鎖技術をシームレスに組み合わせることが、ハクビシンの大根被害を根本から解決し、安全な営農と健やかな住環境を取り戻す唯一の道となります。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

名前(愛称): クジョー博士
本名(設定): 九条 まどか(くじょう まどか)

年齢: 永遠の39歳(※本人談)
職業: 害虫・害獣・害鳥対策の専門家/駆除研究所所長
肩書き:「退治の伝道師」

出身地:日本のどこかの山あい(虫と共に育つ)

経歴:昆虫学・動物生態学を学び、野外調査に20年以上従事
世界中の害虫・害獣の被害と対策法を研究
現在は「虫退治、はじめました。」の管理人として情報発信中

性格:知識豊富で冷静沈着
でもちょっと天然ボケな一面もあり、読者のコメントにめっちゃ喜ぶ
虫にも情がわくタイプだけど、必要な時はビシッと退治

口ぐせ:「彼らにも彼らの事情があるけど、こっちの生活も大事よね」
「退治は愛、でも徹底」

趣味:虫めがね集め

風呂上がりの虫チェック(職業病)

愛用グッズ:特注のマルチ退治ベルト(スプレー、忌避剤、ペンライト内蔵)

ペットのヤモリ「ヤモ太」

目次